![]() ↑コウタケ/7月30日/妙高にて。 先回で書いた「小道脇」の倒木からまたマイタケが2株出た(表紙の写真で今号のみ)。 今回は写真を撮らないわけにはいかないという状態のいい姿だったので、ヒトが来そうもないのを相棒とよく確かめて見渡して大急ぎで撮影をすませた。 2.5キロと1.5キロくらいの若いマイタケだがこのまま放っておけば2倍くらいには成長しそうだ。それでも採らないわけにはいかないのがセツナイ。マイタケはぎりぎりまで大きく育てるほど味も香りもよくなるものだが、場所が場所だからなんともしかたがないのだ。 1年休みのマイタケで、つまり一昨年に発生していたのだが、その時には3株が同時にそろって発生していた。どうも今年はそんなふうに間延びして出てくる傾向があるようだ。上の写真のコウタケも同様で、これまでは一度ですんでいたものが3週にわたって分散して発生している。 なぜ今年はそうなったのか分からないが、きのこ全般としては凶作といっていいような不毛の山になっている。広く親しまれているヤブタケ(ナラタケ)は皆無だしカラマツタケとかジコボウと呼ばれるハナイグチもそれに近いようなありさまだ。つまり一般のきのこ採りのヒトビトにとっては 「採るものがナニモナイ」 というアワレな情況で、最盛期であるはずのこの時季としてはとても考えられないような不作なのである。 そんななかでツキヨタケは旺盛で、先回は立ち木の上から下までぐるりと大発生といった光景が方々でみられた。その時のツキヨタケは色がうすくて遠目にはムキタケに見えるほどだった。今回はそんなワゼものがほとんど腐っていて悪臭を放ったりしていたが、今度は、いかにもというような色の濃いしっかり物が出てきた。 また 「熊の寝床」 まで登ってみた。 先回あった固便の黒くて太いウンコがまだあって、その隣りに新しい固便ウンコが添えられていた。もう軟便は出ないようで先回の軟便はあらかた消えていた。寝床は短期の使い捨てかと思っていたが、けっこう長期に使うのだと分かってきた。そういえば、この周囲のブナが何本か枝が折れて茶色に枯れているのだからエサ場として 「定住」 しているのかもしれないなと思った。 寝床のブナの木は地上10メートルほどの高さで唐突に折れている。すっかり 「枯木」 だと思い込んでいたが折れ口付近から太枝が2本でて緑の葉っぱが繁っていた。根元の寝床を見ていると、とてもまだ生きている木だとは思えななかったのだ。 相棒と 「おお、生きていたのか、スマンスマン」 と誤解を詫びたが、こんなだからそう永いことはあるまいとは内心では思った。 生きてはいるが下から上まで満身ツキヨタケだらけであった。20センチくらいの最大まで開いた白っぽいヒダの群れを並べて 「どうだどうだ」 と誇示して見せびらかしている見事な光景。折れ口ちかくにはサンゴハリタケが見えるがどうにもならない。サルそのものであるような相棒でも木登りのしようもない太い木だ。 折れ口から上にあったはずの木が 「寝床」 の前方にごろりと横たわっている。こっちには5センチくらいの若々しいツキヨタケが一面に張り付いている。これもまたいい光景だ。もとはあれの続きの木だからサンゴハリタケがと思って探したが、そう都合よくあるわけではなかった。 夜景ならヒダが白くひかる絶景だろうなと思ったが夜間にこんな奥山にいるのはやはり不安だ。クマも戻ってくるかもしれない。去年はじめてクマを目撃した (第212号) があのときの重量感といいウンコの太さといいヒトとの 「実力」 の差は歴然としている。 なにかの本に 「動物は弱点である鼻をたたけ」 と書いてあったので、いつも携行している中型の三脚で万一のときには立ち上がったクマに対してそうするつもりだが、はたしてハナのハナシはホントなのか、イザという局面でそんな行動ができるのか、ほとんど自信はない。クマにも個体差があるだろうから気の弱いヤツだったらいいなと願うだけである。 犬の遠吠えみたいな奇声をはりあげたりして 「熊よけ」 のつもりの相棒だが、私は 「そりゃあ熊寄せだぞ」 といってよく揶揄する。クマには出会いたいので私はなるべく静かにしているが、それが実って去年の目撃につながったのだろうが、しかしホントに目と目があったらどうなっていたのだろう。できるならば写真のモデルになってもらいたいものだが。 そんなどうしようもないことをあれこれ考えながら 「寝床」 あたりをもそもそと動きまわって山を下りはじめた。 もとのマイタケあたりまで戻ると向こうからヒトがくる。3人づれのきのこ採りスタイルである。 「なにかありますかー?」 と声をかけたら 「ないね!」 と電報のような俳句のような単純明快な答えがかえってきた。元気も出ないのであろう。いちおう こっちも 「そうだね!」 と単純にかえしてすれ違った。 表紙の写真はこうしてその部分をクローズアップしているので読者には簡単に見つかりそうに見えるかもしれないが、これが意外にそうでもない。写真ではそうは見えないが現場はけっこう暗い樹下で倒木もマイタケも黒っぽいために周囲の暗さに溶け込んでいる感じなのだ。 このあたりに来るようになって7年くらいは過ぎるのだが、はじめてコイツを見つけたのが一昨年で、その前から毎年でないにしても出ていたはずで、それに気づかないでいたことになる、としか思えない。 それでも、万一ということがある。彼らの姿が見えなくなってから 「おー、あぶなかったなー」 と相棒と胸をなでおろしたり笑ったりして歩きつづけた。 |