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第237号 好天のナメコ 2007年11月23日


 
 ↑ナメコ/11月17日/妙高にて。 この時季になると日陰の根元であれば晴天でも乾かない。
  
 きのう (22日) 妙高から電話があった。赤倉あたりで積雪が5.60センチになっていると。今なおはげしく降っていると。上の写真の17日には想像もできない豹変ぶりで記録的少雪暖冬だった去年との極端な落差におおいに戸惑った。
 柏崎市でも数日前にすこし白くなった。郊外では2.3センチ積もり、もっと奥にある山はまだらに白い。その後に郊外の雪は融けたが強風とともに雨かみぞれかあられかが時折り激しく落ちてくる。典型的な沿岸部の冬気候到来である。
 この妙高の雪ではもう山にはいることはできない。きのこの雪景色は欲しいが積雪が多すぎる。雑木林はまだ2回しか行ってないのに・・・。
 先回あったまだちっこいナメコやヒラタケやムキタケたちは突然きた雪のなかでしずかに余生を送っていることであろう。
 わしらもこれで眠ることにしよう・・・・・・。

 きのことりは休眠だが今度からは 「樵 (きこり) 」 だ。
 原木マイタケのためのナラの木の切り出しをやることになった。いよいよテスト段階から規模拡大に移行する第一段階がきたのであった。今年からは本腰をいれてやるぞ、いつまでもきのことりなんてしてらんないぞ、と栽培に熱心な仲間 (といっても今のところは相棒ともう一人しかいない) と息巻いているのであった。わしらの将来 (つまり 「老後」 ですね) がかかっているのだ。
 山からとってきたきのこをもとにして、これまでの15年ほどの間にムラサキシメジ・ナメコ・ヒラタケ・ムキタケ・タモギタケ・アラゲキクラゲ・ヌメリスギタケ・ハタケシメジなどを試作してきたが、やはり原木でつくるマイタケは魅力的であった。
 マイタケのなにがいいのかというと
 @風味が素晴らしい (スーパーで売っている促成栽培物とは比較にならない。天然物に極めて近い)。
 B大きいので収穫の際の手間が少ない (ナメコやキクラゲなどは手間)。
 B名前を知らないひとがいない。人気がある。
 C比較的に高値で売れる。
 Dナラの木が山には沢山ある (が森林組合でも最近は切るひとが少なくなってきたのが問題)。
 などであろうか。ほかに数種類の栽培を検討している。
 こうした栽培は腐朽菌に限られるわけだが、腐朽菌といっても一筋縄では菌糸が分離培養できない種類があるのがわかってきた。
 スギタケモドキとハナビラタケの菌糸である。
 どちらもほかのバクテリアかなにかが寄生だか共生だかしているらしく、本体菌糸だけを分離することができない。ハナビラタケについてはそれの分離培養に関した特許があるらしい。今後の課題である。
 マイタケはこの点でも有利なきのこで分離培養が容易なのである。不利な点は菌糸成長が遅いことと雑菌にきわめて弱いこと。青カビによくやられるのでこれをどう防ぐか (設備と経費をかけないで) が最大の課題になる。
 もっとも強いきのこはヒラタケで、成長は早いわ雑菌には強いわで、菌糸の伸びは毎日見ても変化がわかるほどで (たいがいの菌は4.5日しないと分からない) 少し勢いがついてくると青カビに勝ってしまう強健ぶりにはたまげる。
 数年前に菌根菌を腐朽菌と同じ手法で試したことがあった。
 オオツガタケであるが何日待ってもウンともスンとも言わず黙ったままガンとして動きださない。その道の専門家が見たらアキレワラウだろうような幼稚なテストだったが 「おお、さすがキンコンキンだ」 などと敬意を感じるほどにいたく感心させられた。マツタケと同じ手法で胞子から発芽させなければならないのであろうということが分かった。

 それからヒラタケが山ではナラの木に生えているので駒打ち用にもナラがいいとずっと思いこんでいたのが、実はナラはダメなんだというとても意外な事実に、この春先にやっと気がついた。
 種駒もいろいろつくっているのだが (駒型に整形された木地素材は購入) ヒラタケは何年ためしてもナラからは出てこない。出てもほんのちょっとだけといったような按配だった。
 これは打ったあとの養生とか環境とかになにか問題があるんだろうかとずっと考えていて 「木の問題」 とは露ほども疑ってみたことはなかった。山ではナラに豊富に出ているから 「疑う」 ということさえハナからしない。 「お日さんは東から昇る」 ことと同じであった。
 この春先になんとはなしにその常識をふと吟味してみた。
 あっと思った。ブナとケンポナシに打ったケースでは問題なく発生していたのだ。もしや・・・と気がついて 「大貫菌蕈」 のカタログを開いてみた。ヒラタケの項目にはナラでは○も△も×もない無印であった。かつてはなんで無印なのか◎に決まっているだろうに、専門メーカーのくせに、などと考えていたことを思い出した。
 ・・・そうか、情況証拠としては 「ナラはクロ」 だったのだ、ということが閃いた。ナメコもムキタケもナラでうまく発生していてヒラタケではなんでダメなのかあの力強い菌がと不思議だが、そうだとしか言いようがないではないか。 「ナラは×」 であったのだ。専門メーカーであるはずの大貫さんのカタログではなんで無印なのか不可解だが。
 つまり 「ナラ枯れでの枯木」 状態ならいいが 「生木を切った」 状態ではダメなのだ。それに気がつくまでヒラタケの種駒を自作してから7年は要したぞ。なんともマヌケでウカツであった――。
 よく 「自然に学べ」 といわれるが、こういった落とし穴もあるから表面だけ見ていると勘違いすることがある。いい教訓になったなと思った。
 そこで試しに相棒の今は委託耕筰している田んぼのハンノキを切ってヒラタケ種駒を打ってみた。それが今は木口が真っ白になっていてもう出そうな感じだ。ブナやケンポナシと同じだ。去年またナラに打ったのはやはりそんな気配がなくこの冬に出そうもない。やはり単純に 「ナラはダメ」 なのであった。