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第247号 栽培方面へ-5 2008年8月1日


 
 ↑規格外の小さい径木(径15cm位)のマイタケほだ木60個を埋める/7月26日/妙高。

 週末はマイタケとギョウジャニンニクの栽培関連で忙しくなってきて、きのこ探しはその合間という情況になってきた。
 そんな合間に白いきのこがあった。ツチカブリだったかシロハツだったか、それの相違ってなんだったかななどとと同定に迷う初歩クラスまでレベルまで落ちている事実に気がついて静かにわらった。
 それでも、ぼやけて霞んできた記憶のノートを懸命にめくると、そうだそうだ、乳液が出るか出ないか、つまりチチタケ属かベニタケ属か、それがキメテだったという記憶がなんとなくよみがえってきたが、それが確かな事であるのかどうかの確信はもてなかった。
 白いきのこを手にとって白い乳液が出ないことを確かめて、いちおうシロハツと決めつけてから、そうだそうだ、ヒダの密度が問題だったと気がついて、それが細かいものだったのでシロハツモドキであるのだなと自分のなかで決まった。
 このときに 「何きのこであるのか?」 といった問題もあったが、それと同時にシロハツモドキの発生状態にココロを惹かれていたのでもあった。
 現場は湖畔で草の少ない裸地に近い地面であった。そこにナラの枯木が枝ごと落ちて横たわっている。その枯木にそってシロハツモドキが発生している。一見、腐朽菌の発生パターンであり菌根菌らしくない状況がめずらしかった。考えてみると枯木のために地面が乾燥から守られて、そのために地中にある菌根菌であっても生育に都合がいいために枯木にそって発生しているわけだ。裸地にころがる木の骸(むくろ)と元気な白いきのこ。そこのところにちょっと大げさにいえば 「生と死」 といった深い意味合いと風情のようなものを感じていた。
 このあと蝉の羽化を見つけた(表紙の写真)。それまで意識下で耳にはいっていた蝉の声が、急に大騒ぎの声で爆発したようにわっと響いて聴こえてきた。
 帰宅してからシロハツ問題を図鑑で確かめるということもせず、風呂からビールへと直進していった。

 「マイタケの原木栽培」 を試みてから今年で5年目であった。
 原理は 「ナラの木を玉切って、煮て(または袋に入れて蒸して)、熱いうちに袋に入れて冷まして、木口に種菌をふりかける」 という単純な手法だが 「効率よく歩留まりよく品質よく」 つくるには、それなりの試行錯誤の連続であった。
 冬に仕込んで、カビ発生の問題は5月頃に、マイタケ発生の問題は秋に、ならなければ結果は分からないので、それを踏まえて次の冬に改善してつくってみてまた・・・、といったくり返しで、まことに牧歌的というか縄文的というか、そんな悠長な試行錯誤であるのだ。
 建物や設備でお金をかけては合わないので、できるだけ有る物で安い物で工夫して賄うということが原則になる。
 そこで問題になるのがわが工場の基本構造である。
 木造で床はベニヤ張りで人と物の出入りはフリーでエアコンなく春からは窓開放――こんな条件でもってモロに棚に並べて培養中にカビを生やさないとしたらその方が不思議、といった劣悪の環境にある。
 で、最初の年と2年目も仕込んだうちの4割も青カビが生えた。青カビは数日で全面を占領してしまう。マイタケ菌の成長初期は雑菌に極めて弱いと書いてある参考書の記載は事実であった。植菌時には完璧であってもこんな工場では培養中に雑菌が侵入してくる。やっぱしこれじゃあとってもムリだ! と2年目で挫けそうになったがそこで必死に対策を考えた。そして3年目からは、同じ環境でありながら、カビ生えは3% (3割でない) になり今年は1%まで改善された。
 これが最初の難関で、これですべてOKでなく別の難関は次々と控えて待っていた。
 主な課題を列記すると
 @種菌の選定。
 Aナラ原木の確保。
 B規格の長さと太さに切断する方法。
 C加熱滅菌時間の短縮。
 D培養棚の構造。
 E培養時のカビ発生の防止。
 F培養時の乾燥の防止。
 G埋設の方法。
 H埋設当年からの発生。
 5年をかけて、これらを徐々に解決していった。
 15年ほど前にムラサキシメジの菌糸をはじめて培養してみたのが始まりだった。以来、オオイチョウタケ、ササクレヒトヨタケ、ナメコ、ヒラタケ、ムキタケ、タモギタケ、アラゲキクラゲ、シイタケ、ヌメリスギタケなどを練習とか遊びのレベルで試作してきた。今後はハタケシメジとハナビラタケの原木栽培を試してみたい。