![]() ↑ナラタケモドキ(今号の表紙と同一固体)/9月4日/旧頸城村大池にて。 このとき、ちょうど雲間から陽光がさしてきた。池の周囲はナラタケモドキがわんさわんさと唸っている。この場面あたりでは芝生に若い桜があるだけなので、わりと静かであったが。
いま、ナラタケモドキがおおにぎわいである。 昼休みの散策コースにある公園や神社ではサクラ、カシ、タブなどの根元や根先、それとマツの切株からも発生している。これまでに見たこともないような所かまわずの大発生大群生といった様相。この夏は夕方になると激しく雨の降る日が多かったから、その効果のようである。平野部ではきのこ大当りの年になりそうな気配がしている。 ハナビラタケの菌糸が組織分離法でようやく培養できた。 年に3.4回採れて、それの3年間なので9回から12回くらい、なんどやっても菌糸らしいものができずにバクテリアかなにかのようなウミのようなものがシャーレの真ん中に少し盛り上がってできるだけ。それからはウンともスンともいわずに、増えることもなくただじっとしている。肝心の、もとになる種菌がつくれない、そんな空回りの3年間であった。 これまでに10種類ほどの腐生菌を培養してみたが、どれもみな単純にうまくいった。しかし、腐生菌ならどれもみな同じ、というものではないことが身にしみてわかった次第。 ハナビラタケきのこの組織のなかに、はじめからある種のバクテリアがすでに共生しているのだろうか、もしそうだとすればアマチュアである自分ではもう不可能か――、などと諦めかけていたのであった。 では、成功した今回はこれまでとはなにがどう違うのか。 ――それは、キギョウヒミツ、というもので、簡単に言ってしまうわけにはいかないのであります。専門家はワラってください。 このあとは拡大培養していってボトルや袋からきのこを出せば市販の空調栽培 (富栄養促成栽培) のハナビラタケで、その方面の栽培家には悪いけれども空調栽培きのこはどれもマズイ。 「毎日生産出荷」 の商売として成り立つにはこの方式しかないのであった。 私は 「マイタケの原木栽培」 と同様に 「ハナビラタケの原木栽培」 をやってみたいというのが、この先の狙い。 でも、マイタケのようにうまく原木にハナビラタケ菌糸がからんでくれるかどうか、といった課題と、それがうまくいったとして、また次の大きな課題が予想されるのであった。 それは 「ハナビラタケはゴミを巻き込む」 という育ち方の問題。 マイタケはツノ状で地面から出て、それから枝のように分岐しながら大きくなっていく。それで地面に落ちている小枝や枯葉を巻き込むことはあまりない。 ハナビラタケは地表に出る前から、小さいながらも、もうチマチマと枝分かれが済んでいる。その枝が成長しながら地表にある小枝や枯葉を巻き込んでいく。カラマツの落葉はこまかくて始末がわるい。そのために天然物はごみだらけといった有り様で、始末しきれないために半分は欠いて捨てるハメになることが多いというのが実情としてある。したがって、切株や浮いた根から出たものはきれいで有難い。 原木にうまく菌がまわったとして、乾燥させないためにマイタケ同様に地下に埋める。そして発生したハナビラタケはゴミだらけ――それが問題なのであった。 この壁が乗り越えられるかどうかがあるので、種菌ができたからといって、手放しでよろこんでなどいられという事情なのであった。 |