![]() ↑ヒラタケ/11月15日/妙高にて。 人の頭ほどのヒラタケのかたまり。昔はめずらしくなかったが最近ではなぜかそういったかたまりはまれになってきた。それと 「白こぶ病」 被害が今年はずいぶんと少ないようだ。 好天つづきで乾燥したものが多かったが、このヒラタケはうまく日当たりから免れる環境にあったようだ。 樹上5メートルほどの高さにあるのを斜面の上から写したあと相棒の猿芸でもぎとった。 それを樹下でわしが受け止める。両手にずしりと重い手応えがあり久方の見事な大株に見惚れた。 11月15日は好天の山。 この2.3日の好天のためにきのこがうまく育たない。乾いてこじれたナメコがほとんどでヒラタケなんぞは 「天然乾燥」 してカラカラに干乾びたのがあった。アレー惜しいなと思ってよくみると、大丈夫、立派な乾燥品。ヒダの色合いをみると若くて元気のいい状態のまま干物になっている。これならダシ用として重宝するからおおいに歓迎なのであった。ナマのときの何倍もの濃い旨みがでる。 かつては、採り放題だった昔は、糸に通して天井からぶら下げて石油ストーブの熱で干物をつくっていた時代さえあったのだ。そんな昔を思い出したりした。 うまく立ち木の日陰になっていたり、根元や倒木に出ているのはなんとか乾燥からのがれて育っていた。 ――と、こう書くと、例年のような作柄みたいだが、じつは発生は2週間くらい遅いし量もずっと少ないというのが今年の傾向なのであった。 「傾向」 はあっても 「対策」 はない。夏秋に不作でも晩秋からのきのこが不作になったことはこれまでに一度もなかったけれど、今年はそうなった。どうにもならない。しかし、これから持ち直す気配は感じられる。 さらに、遅いばかりでなく、順番が狂っている。ナメコよりもヒラタケの方が早くでた。種駒を打ちこんだ栽培物でもそうなった。いつもならナメコが出る時季にまだ出ないで12月になって出るはずのヒラタケがもう大きくなったりしている。前代未聞の番くるわせである。番くるわせであっても出てくれれば文句はないが、でも、今年の気候はなにかへんでないか。 加えて、地上のきのこがまれなこと。 この時季はクリタケ、チャナメツムタケ、モエギタケ、アシナガタケ、ニガクリタケなどがよくあるのにさっぱり。とくに、雑草のようにどこにでもあるような感じのクリタケの、あまりにもないのには拍子がぬけた。 それでも、陽光が明るい紅葉晩期の林内はこのうえなく気持がいい。ああ、こんな天気もきっとこれが最後なんだろうなと惜しむ気持で徘徊した。 やはり翌日からは曇天になり3日前からは雨・みぞれ・風の荒天になり雪がふった地域もあった。日本海側特有の暗く湿った鬱病的冬気候の急速な到来である。 前回のトリュフの追記。 国内ではシイ・カシの樹下にも出るという情報あり。 あと、ある本では 「熟した果物のような独特の香りがあり」、「高級レストランではアイスクリームにも入れられ、ひと口食べると口の中に芳香が漂う」 と書かれているが、もしかするとそれは香料でまったく別の香りづけをして日本人好みにしたものを本物と思い込まされているのではないかと推測した次第。 これまでに得たトリュフの体験と知識と情報からは 「(日本人がそうと感じる)芳香」 ではない、としか考えられないから。 前々回の文で 「遠い子供の頃に嗅いだことがあるようなかすかな記憶につながるのだが、それがなんの匂いだったのかどうしても思い出せない」 と書いたが、最近になってなんとなく思い出したのは 「ナマの牡蠣を食べたときに口内に感じる臭い」であったような気がすることに気がついた(へんな文かな)。 大人になってからは滅多に食べないが食べるときにはレモンを絞ってかけたりするので、その臭い(鼻からの臭いでなく口内で感じる臭い)が消されるような気がするので、それが原因でその臭いをずっと忘れていたと思える。子供のころはその臭いがあまり好きではなかった。というより、食感そのものがどこか気持がわるくて好きでなかった。 トリュフは 「強いて言えば魚介類の臭い」 とする情報もあったので、私のいう 「牡蠣の匂い」 というのもそうかけ離れた例えでもないような気がする。 なにせホンモノたるものを実際に食したことがないものだから、その可能性もないものだから、あれやこれやと想像と推測などをたくましくめぐらしているのであります。 こう書いているうちに冷蔵庫でビンに密封したトリュフを思い出し、今フタをあけて臭いをかいでみた。ひと月近い保存になるが2週間たったころにあまり臭いがしないものだから半分に切っておいたのであった。 その臭いは強いて言えば 「ホタテの貝柱」 あるいは 「イカの塩辛」の臭いであった。やはり魚介系といった感じでそう強く香るというわけでもない。 どうも、「履いた靴下の臭い」 だったり 「牡蠣またはホタテ貝柱の匂い」 だったり 「熟した果実の匂い」 だったりと、とりとめがなく正体がつかめない。 ホンモノはこれにプラスアルファがあってそれがトリュフの 「命」 らしいが、それが 「表現不可能」 の臭い らしいが、それが西洋人にとって 「猫にマタタビ」 らしいが、それはいったい、どんなニオイなんだろう――。 |