屋 久 島 ・ 種 子 島 巡 り の 旅

 秋も終わりに近付いた頃、旅行好きの仲間の会で、結成以来の念願であった、世界自然遺産・屋久島と鉄砲伝来の地・種子島を巡る旅をしました。2泊3日の短い旅でしたので、両島のほんの一端を巡っただけではありましたが、亜熱帯の屋久杉に圧倒され、歴史と未来の不思議な共存にロマンが募る旅となりました。
 紹介する太古の森も南国の海も、そして歴史も未来も、屋久島と種子島を語るにはお粗末な内容ですが、感動の思いだけでもお伝えできればと念じています。
旅行日; ’02.11.5〜7

                

見 る
【屋 久 島】
本土最南端・佐多岬の南方約70kmの洋上に浮かぶ、隆起花崗岩でできたほぼ円形の島。その75%ほどは、
宮之浦岳をはじめ、1,500mを超す山々が聳える山岳地帯で、洋上のアルプスとも称されています。
「ひと月に35日雨が降る」と言われるだけに、縄文杉をシンボルとする屋久杉原生林はじめ、
日本最大級の照葉樹林、湿原や大小の河川と滝など、大自然の息吹に満ちた島です。

【紀 元 杉】
 豊かな自然に包まれた世界自然遺産・屋久島は、屋久杉の名で知られているように、樹齢千年を超える屋久杉が林立する、太古の原生林におおわれています。その中で最高齢とされているのが、樹齢7,200年の縄文杉ですが、それには及ばないまでも、手軽に見られる屋久杉として最大、最長寿なのがこの紀元杉です。樹高19.5m、胸高囲8.1m、樹齢約3,000年といわれ、太古の風格が漂う巨木です。
 ヤクスギランド前の安房(あんぼう)林道を車で更に15分ほど登った道沿いにあり、また、近くには岩陰から湧き出ている紀元命水があります。

  
風 格 漂 う 紀 元 杉                樹 齢 約 3 0 0 0 年

【ヤクスギランド】
 標高1,000〜1,300mの地点にある、屋久杉原生林です。自然休養林に指定されています。
 屋久杉といっても特別の種類ではなく普通の杉で、地名からそう呼ばれるだけのこと。しかし、屋久島に生えていれば全てそうかというとそうではなく、樹齢1,000年を超さないと「屋久杉」と呼んで貰えないのだそうです。
 林内は、「仏陀杉」(樹齢1,800年)、「三根杉」(樹齢1,100年)、「母子杉」(樹齢2,600年)、「くぐり杉」など、屋久杉の老大木から若い小杉まで、様々な樹木や荒川渓谷など、原始の森の佇まいそのままの自然を散策できます。30〜150分の4つの周遊コースに分かれており、入園料(入林協力金)300円。

 
太忠岳を背景に売店「森泉」      仏陀杉        屋久杉と小杉の原生林

【種 子 島】
最高地点でも標高282mと、比較的平坦で、南北に細長い島です。面積は屋久島より若干狭いですが、
人口は屋久島の2.5倍ほどで約3万5千人。北から西之表港を中心とする西之表市、種子島空港
がある中種子町、種子島宇宙センターを持つ南種子町とに分かれる1市2町の島です。
遣唐使の時代から南海海上の要とされ、室町時代には鉄砲伝来、
江戸時代には初めてサツマイモが栽培されるなど、歴史を秘めた島です。
そして今は、未来を拓く宇宙センターがあり、いつも時代の最先端を行く島です。

【門 倉 岬】
 種子島の最南端に断崖状に突き出した岬。天文12年(1543)、この岬に一隻の明国の船が漂着。その船に乗っていたポルトガル人が鉄砲を所持していたことから、日本に鉄砲が伝わることになったとされる地です。
 岬周辺は公園として整備されており、鉄砲伝来紀功碑や南蛮船を模した展望台などがあります。標高1,00mの断崖上の展望台からの眺望は、遠くに種子島宇宙センター、そこまで続く白い砂浜と青い大海原、正に絶景です。

  
門 倉 岬 の 碑                  展望台からの眺望

【種子島宇宙センター】
 昭和44年に開設された宇宙開発事業団のロケット発射基地。種子島の南東端にあり、総面積約860万uの敷地内に、2カ所の発射台と、指令管制塔気象観測塔、シンボルのN1ロケットの実物大模型が立つ宇宙科学技術館などが点在しています。芝生には、全長約50mのH-Uロケット実物大の模型も展示されています。
 また、広い敷地内には、発射場の1つ、大崎射場を一望できるロケットの丘展望所があります。

   宇宙科学技術館       H-Uロケット模型      展望所から射場を望む

【浜田海浜地・千倉(ちくら)岩屋】
 透明度の高い、コバルトブルーの海と白い砂が印象的な、島の東海岸の一つ、浜田海浜地。この海浜地一帯は、太平洋の荒波にさらされ、波の浸食によって造り出された海食岩や海食洞窟などの奇岩による景勝地が数多く見られるという。
 中でも独特なのが、この千倉岩屋。この洞窟は、海に向かって大きく口を開いたような形をしており、干潮時にのみ姿を現すとのこと。その時だけ内部に入ることができ、巨大な空間になっていて、「千人の人が座れるほどの広い岩屋」の意味からこの名が付いたと言います。

  
青い海と白い砂が美しい           荒波に造り出された千倉岩屋

泊まる
【屋 久 島】
 宿泊施設は、上屋久町の宮之浦港周辺と屋久町の安房港周辺、それに尾之間(おのあいだ)地区に集まっています。ホテルも旅館もありますが、民宿も数多くあり、新鮮な食材による郷土料理と、民宿ならではのくつろぎと持て成しが期待できます。
 泊まったのは、上屋久町にある「田代別館」。宮之浦川沿いの風光明媚な地にある、静かな佇まいの旅館でした。
【種 子 島】
 西之表市は西之表港の周辺、中種子町は役場がある野間周辺、南種子町も同じように役場がある上中周辺と、それぞれの中心地にホテルや旅館、民宿が集まっています。
 泊まったのは、南種子町にある「大和温泉ホテル」。島で唯一、温泉が楽しめるホテルとのことでした。

アクセス及び案内メモ
【アクセスメモ】
屋久島へのアクセスは、空路、航路ともにありますが、今回は飛行機で行きました。新潟空港から伊丹空港まで1時間10分。そこから鹿児島空港まで1時間10分。そこからプロペラ機屋久島空港まで40分。乗っている時間はそれほどでもないのですが、乗り継ぎ乗り継ぎで、待ち合わせ時間のロスもあり、1日掛かりでした。
屋久島から種子島へは、宮之浦港から高速船ジェットホイル西之表港までで約1時間でした。
帰路は、種子島空港から伊丹空港までの直行便で1時間50分。36人乗りのプロペラ小型機でした。
【案内メモ】
屋久島と言えば屋久杉の森ですが、それ以外にも亜熱帯ならではの森があります。中でも、ガジュマル林はエキゾチズムたっぷりです。亜熱帯に広く分布するクワ科の植物で、屋久島はその北限とか。島の海岸沿いに点在しており、中間(なかま)ガジュマル林を見ましたが、志戸子ガジュマル園が有名です。
種子島を代表する味覚は様々にあるのでしょうが、西之表市の「膳処金兵衛」で食べた「トビウオの姿揚げ」の珍味が忘れられません。
屋久島名産数多くある中で土産に選んだのが、「さばぶし」です。近海から水揚げされるゴマサバをさばいて乾燥させ、一品一品丁寧に骨抜きして作られるのだそうです。半生状態の「生節」と、カチンカチンの「枯節」とがありますが、求めてきたのは「生節」で酒の肴に最高の珍味です。

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