第7話


ライに2人が話しかけて来た。

「ありがとう。助けてくれて。」
「あなた達は・・・誰?」


「・・・ただの旅人だよ。」

ライが答えた。

「『ただの』旅人なわけないでしょう?「雷」のエレメントを持つなんて。
あなた達は何者?」



しばし、沈黙が場を支配した。



ライが口を開いた。

「・・・ただの旅人。
「雷」のエレメントはこの旅のきっかけとなっただけだよ。」
「それより、あんたらは何故襲われていたんだ?」

コウが話に割り込んできた。



再び、沈黙。



「・・・あなた達はハウントウルフの声を聞きつけてここへ来たんでしょう。」

二人は、同時にうなずいた。

「あのウルフたちは炎を見ても怯えなかったわ。
おそらくは、このカロによって呼び出されたんだと思うの。」

「そうだ、ウルフは?」

コウは女性に尋ねた。
すると、答えは別の所から返ってきた。

「私が魔法で吹き飛ばしてやったよ。アレを見てよ。」

少女が指差した先には、ウルフの群れが
ピクリとも動かぬまま横たわっていた。

「ハ〜、やるもんだな・・・。」
「とりあえず、近くの町へ行きましょう。ここで話していてもしょうがないし・・・。」
















その夜。
4人は宿の1つの部屋に集まった。

「話を聞かせてくれないかな・・・。」
「ねぇ、その前にお互い自己紹介しない?」

少女が言った。

「そういえばまだ名乗ってなかったっけな・・・。」

ライが決まり悪そうに後ろ頭を掻く。

「僕はライ。」
「俺はコウだ。」
「私の名はスフィア。」
「私はフィーナだよ。」

「じゃあスフィアさん、話を聞かせてください。」





「・・・あいつらが狙っているのは、これよ。」

スフィアは、一振りのダガーを出した。

「これは?」

ライが訊ねる。

「エレメントの結晶化って知ってる?」
「・・・優れた魔術師のエレメントは、その魔術師が死ぬと
何らかの形で実体化するって言う・・・?」

「そう。そしてこのダガーは、実際に結晶化したものなの。」
「へぇ・・・。初めて見たよ。」

ライは感嘆の声を上げた。
スフィアはさらに続ける。

「結晶化したものが武器の形を取っていれば、
それはそのまま魔法の武器として使えるの。
しかもかなり強力な・・・。」
「・・・あいつが狙っていたのも、これなのかい?」

「ええ。でもあいつは団員の1人にしか過ぎないわ・・・。」
「団員?」

「屍水魔団って言う組織があるの。あいつらはこういった強力な
魔法武器を得るためなら何だってやるような組織なの。たとえ殺人でもね・・・。」





「でも、そんな組織に狙われてまでそのダガーを持ちつづける理由は?」

ライが言った。





次に口を開いたのは、フィーナだった。

「そのダガーが・・・私たちの父さんだからだよ・・・。」
『えっ・・・』

二人がその言葉を理解するのに、僅かな時間を要した。

「父さんは・・・屍水魔団の団長に殺されたんだよ・・・。」

フィーナの目には、涙が浮かんでいた。
スフィアが続ける。

「私たちは、父さんの敵討ちのために旅に出ているのよ。
でも・・・まだ力が足りない・・・あんな奴に苦戦するなんて・・・。」

カロのことである。

「・・・ねぇ、あなた達。禁呪について何か知らない?」
「何故禁呪について聞くんだ?」

コウが言う。

「噂では、団長は禁呪の一つ、フェンリル・レイバーを使うらしいの。
それに対抗するための炎の禁呪・・・ファントム・フレアがあればと思って・・・。」

「・・・魔法は、威力に相応した魔力がないと使えないでしょう。」
「このダガーの力を借りるのよ。足りない魔力を補ってもらうの。」

「・・・これを見て。」

そう言ってライが出したのは、洞窟で手に入れた禁呪の詠唱法が記された巻物だった。

「これは・・・!」
「6つの禁呪全ての詠唱法さ。この間偶然手に入れたんだけど・・・。」
「これさえあれば、あいつにも対抗できる・・・!」

そう言うスフィアの声は昂ぶっていた。

「・・・ちなみに、その屍水魔団はどの程度の規模なんだ?」
「え?あ・・・中規模よ。その名の通り水魔法使いが主な構成員。
皮肉な話よね・・・癒しの象徴でもある水が殺しのために使われているなんて・・・。」

「・・・いくら中規模だからといっても、2人で乗り込むのは危険だよ。」

ライは言った。

「大丈夫よ。この禁呪があれば・・・。」

スフィアはそう返した。しかしライは落ち着いた表情で話した。

「禁呪禁呪って言ってても、ダガーの力を借りても使えなかったらどうするのさ?
それに、どうやらファントム・フレアは単体にしか効果が無い魔法らしいんだ。
それで中規模の組織を相手に出来ると思ってるの?」

「・・・・・・」

口をつぐむスフィア。

「・・・それに、この魔法書は僕らのだ。君はこんな短時間で詠唱法を覚えられる?」
「・・・どういう意味なの?」

スフィアは訊ねた。

「僕らも行くよ。その仇討ちの旅に。」
「え!?」

驚きの声を上げるスフィア。

「本当!?」

それとは対照的な声を上げるフィーナ。
しかしスフィアは顔をしかめる。

「やめた方がいいわよ。あなた達まで危険にさらしたくないし・・・。」
「もう遅いと思うぞ。」

と、コウ。

「ライが「雷」のエレメントを持っているっていうのは、
おそらくあちらにはばれていると思うんだ。
おそらく今のところ唯一の存在。奴らも珍しがって探すはず。
つまり、俺達も狙われていると考えた方がいいんだ。」





「・・・ふぅ。」

スフィアは嘆息した。

「そうね・・・。もう遅いのかもね・・・。でも・・・本当にいいの?」
「もちろん。個人的にも、そういう奴らは許しておけないし。」

「・・・わかったわ。一緒に行きましょう。」
「よろしく、スフィアさん。」
「もうスフィアでいいわよ。一時的かもしれないけれど仲間になったんだし。
よろしくね、ライ、コウ。」
「あ、私もフィーナって呼んでね。よろしくね!」


ここに、4人のパーティが結成された。


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