洞窟から出て、とある森の中を歩くライとコウ。
2人はもうすぐ町に着く位の所にいた。
「ふう・・・もうすぐ町に着くぜ・・・って、どうしたんだライ?」
「・・・何か・・・飛んできてるんだけど・・・。」
方向をあごでしゃくるライ。
確かに何か飛んできている。赤い何か・・・。
それも、物理的なものではない何か・・・。
「あれは・・・フレイム・ショットのつぶて!なんともまぁいいコースで
こっちに来てるな・・・でも避けりゃ他の木に当たるしな・・・。」
「コウ、少し下がってて。」
ライは前に出た。
炎のつぶては眼前に迫っている。
「ハッ!」
ライの居合抜きによって、炎は真っ二つに分かれ、消えた。
「やるな・・・。」
コウが素直に驚く。そのときだった。
「グルァァァァァァ!!」
炎の飛んできた方向から、叫び声が聞こえた。
「ハウントウルフがいるのか!?」
ライが言う。
ハウントウルフは、肉食の狼・・・それも、人間の肉を好んで食べる狼だ。
「誰か襲われているんだ!行こう!」
ライは既に走り出していた。
二人の女性がハウントウルフに取り囲まれていた。
ウルフたちの目には飢えによる狂気の色があった。
「・・・炎で怯まないなんて・・・。」
そう言ったのは、18歳前後の女性。
赤い髪に、黒い目だ。
「姉さん、ここは私に任せてよ?」
その横に、もう一人の女性・・・もっとも、
14,5歳に見える以上、少女と呼んだ方が適切ではあるが。
こちらも黒い目ではあるが、髪の色は紫。
その少女は、そう言うと魔法の詠唱を始めた。
そして、詠唱は終わった。
「エアロ・スプラッシャー!」
彼女らの周りで、風が舞った。
ウルフたちを巻き込んで。
全てのウルフが木に、地に叩きつけられ、動かなくなった。
「流石ですね・・・それでこそ殺しがいがあるというもの。」
森の中から、1人の男が歩いてきた。
「・・・」
女性は、無言で1振りの短剣を抜き、少女は背中に担いであった槍を持った。
「戦うつもりですか?この屍水魔団のカロと?」
2人は魔法の詠唱を始める。
「生かして連れて来いって言われてるんですが・・・
こうなったら殺してもかまいませんね。」
カロは残虐な笑みを浮かべた。
そしてカロも魔法の詠唱を始めた。
そして、3人の魔法がほぼ同時に完成した。
「ブレイズ・ファング!」「ウインド・スラスト!」「アクア・ウォール。」
地を這う炎の牙と、空を切るかまいたちの刃は、
水の壁に受け止められ、消えた。
「その程度か。」
しかし、少女の方は次の魔法を唱え終わっていた。
「ウォーター・ウィップ!」
「!フィーナ!やめなさい!」
しかし、少女は水の鞭をカロに叩きつけようとした。
同じエレメント「水」の力なら・・・そう思ったのである。
「・・・ウォーター・ウィップ。」
カロは、アクア・ウォールの水も手に集め、鞭としてはなった。
そして、その鞭は少女の鞭を絡めた。
「!!」
少女は魔法を解こうとした。しかし。
「フリジング・カース。」
水は一瞬で氷になった。ただの氷ではなく、呪いの氷。
その呪いの氷に、少女は手を捕られられていた。
この氷は、強烈な打撃にのみ破壊され、どんな炎にも決して溶けることは無い。
そして、こうなってしまった以上、魔法を解くことも出来ない。
「・・・死んでもらおうか。」
カロは、少女を手近に合った尖った木の幹に叩きつけようとした。
「やめて!やめなさい!」
女性が悲鳴じみた声を上げた、まさにそのときだった。
何か黒い影が過ぎていった刹那、氷が音をたてて砕けた。
・・・砕いたのは、ライだった。
「誰だ?」
カロが問う。
「・・・ただの旅人さ。」
「・・・気に食わんな・・・死ね。」
「ライト・アロー!」
コウの魔法が、カロの体勢を崩した。
そこに、ライの剣が振り下ろされた。
カロの腹が浅く斬れる。
カロは距離を取った。
「ウォーター・ウィップ。」
いつの間に唱えていたのか、突然水の鞭をライの剣に絡ませた。
どうやら武器を奪おうとしているようだ。
その力は、ライが思ったよりも強かった。
「(このままでは剣を取られる・・・仕方ない、「アレ」を使うか・・・。
あんまり使いたくないのに・・・)」
顔をしかめつつも、ライは、魔法の詠唱を始めた。
「させるか!」
カロが思いっきり剣を引っ張る。ここでライの呪文は完成した。
ライは剣から手を放し、剣に向かって魔法を放った。
「!?なんのつも・・・」「ブルー・プラズマ!」
剣と水を通り、青い稲妻が走った。
「ぐあああっ!馬鹿な・・・雷のエレメントなんて・・・!」
カロは、絶命した。