第5話

「一体何があったんだ?」

ライは男に話を聞いた。
背中の傷は、リカバリーで治る程度のものだった。

「この奥に・・・何かあったんだな?」

ライが言うと、男は口を開いた。

「あんたら・・・悪いことは言わん、この奥は止めたほうがいい。
若いのに命を落とすことはない。
この奥には・・・ネクロマンサーがいる・・・。」
『ネクロマンサー?』

ネクロマンサー・・・死霊術師とも呼ばれる彼(彼女)らは、 不死を求め、研究を重ねている。
しかし、その大半は道を外れ、霊や死者を操る術に手を染めてしまう、狂人となる。
最悪の場合、自らもアンデッドになってしまう。
また、エレメント「光」を持つ人々(人に限らず)とは、
考え方の違いから互いを許せない存在となっている。

「ということは、さっきのスケルトンも・・・。」
「おそらくは・・・奴がここに迷い込んだ人を使って・・・。」
「そのネクロマンサー、この奥にいるんだな?」

コウが尋ねる。

「ああ、そうだが・・・まさか、行くつもりじゃないだろうな?」
「行くつもりさ。エレメント「光」にかけてもそういう奴は許せないぜ!
ライ、もちろんお前も・・・。」
「もちろん行くよ・・・エレメントはともかく、そういうことを平気でやるような
人を放っておく訳には行かない。」
「・・・行くのか・・・。なら、この魔術書を持っていけ。光の守護を
受けているあんたなら使えるだろ。俺はトンズラさせてもらうぜ。」

そう言って魔術書をコウに渡すと、男は去っていった。






2人は奥へ進み、ネクロマンサーと対峙した。

「・・・お前は・・・ここに迷い込んだ人をどうした!」
「ヒャヒャ・・・実験台になってもらったわ・・・こいつを作るためのな・・・」

ゼラグと名乗ったネクロマンサーは狂気じみた声を上げると、
片手を高く掲げた。すると、巨大なゾンビが現れた。
実に3メートルはあった。

「私の知識の結晶だ・・・!」
「・・・死を覚悟しろ!ライト・アロー!」

コウの魔法がゾンビを貫く、はずだった。
しかし、光の矢はゾンビの目の前ではじけた。
このゾンビ、よく見ると人間を繋ぎ合わせて作ってある。
そのうちの「誰か」が投げ出されて、盾代わりとなったのだろう。

「コウ!こっちだ!」

ライの考えを察したコウは、再びライト・アローを放った。
ライの剣に。
剣は光を受けると、その力を宿らせた。

「魔法剣か・・・だがそいつに近づけると思うか?」

ゼラスの嘲笑が響いた。
確かに、この巨大なゾンビの一撃を受けたらひとたまりもない。

「近づけるさ・・・」

コウは既に、魔法を唱え終わっていた。
さっきの魔術書に書かれていた魔法だ。

「フラッシュ・ミスト!」

魔法が放たれた。すると、眩い光が霧のようになって現れた。

「なんだと!・・・くっ、奴らはどこだ!」

焦るゼラス。ゾンビは動きを止めている。
もともとアンデッドは光を嫌う。その光に包まれ、動けなくなっていた。

「どこだ!どこにいる!」
「ここだ・・・。」

霧が晴れた、その刹那。
ライの剣が、ゾンビを上下2つに断っていた。
その上半身が、ゼラグの方に倒れこんだ。

「く、来るな!こっちへ来るな!あの魔法は、
あの魔法は私のものだ――・・・」

それが、ゼラグの最後の言葉だった。
倒れたゾンビは異臭を放ちつつ、溶けた。

「あの魔法?」

ライがふと壁を見ると、何か文字が刻まれているのを見つけた。
2人はその壁に近づき、文字を見た。
それは、魔法の詠唱法だった。

「ファントム・フレア、ハウリング・ガイア、フェンリル・レイバー、
サラウンド・ストーム、デルタ・ホーリー、それにエンドレス・デス・・・
何でこんなところに禁呪が?」

そう、その魔法は全て「禁呪」と呼ばれるとてつもなく強力な魔法だった。
壁に石がついているのに気づいたライは、その石を外した。
するとその壁が崩れ、奥から魔法書が出てきた。
禁呪の詠唱法をまとめた魔法書が。

2人はその魔法書を持ち、洞窟を後にして
旅を再開した・・・。


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