第1話 「唐突な始まり」


「う・・・本陣陥落だ・・・。」
「はははっ、お前弱え〜なぁ。」

2人の少年の声が響き渡る。

彼らがやっていたのは、
TCGの一つ、「モンスター・コレクション」略して「モンコレ」である。
そして、たった今勝負はついたのだ。

「う〜ん、デッキが悪いのかなぁ・・・。」

と、負けた方の少年が言う。
彼の名は、「聖 流駆(ひじり るく)」といった。

「デッキじゃなくて、流駆の腕が悪いんじゃないのか?」

こちらは勝った方の少年。「服部 炎(はっとり えん)」という名だ。

「うわ、ひっでぇ・・・。」

いじける流駆。

「しょうがないんじゃない?本当のことなんだから。」
「・・・楓・・・お前まで・・・。」

会話に割り込んできたのは2人の幼なじみの少女、
「草薙 楓(くさなぎ かえで)」だった。

3人とも14歳。
常に3人1組で行動している。

「何だったら、私とも勝負する?」

楓が流駆を嘲笑うかのように言う。

「・・・よっし、やってやる!」








10分後・・・

「はい、私の勝ちね。」
「・・・・・・。」

勝者は、楓だった。

「・・・もう、帰らないか?」

炎が言う。
彼らは、通っている中学校の放課後にモンコレをやっていたのだ。

「そーね。そろそろ下校時間だし。行くわよ、流駆!」
「・・・ああ・・・。」

まだ落ち込んでいるらしい。
















その帰り道。
3人はモンコレの話に華を咲かせていた。

そんな中、流駆が何かに気付いた。

「・・・あれ、モンコレのカードじゃないのか?」

駆け寄る3人。
確かに、モンコレのカード。

「何でこんなところにカードが落ちてるわけ?」
「知るか。・・・でも、何のカードだ?」

カードを裏返し、内容を確認する流駆。

「これは『大砂蟲』・・・!」
「マジか!?・・・うわ、本物だ・・・。」
「何でこんなレアカードが道端に落ちてるの?」

驚愕する3人。

『大砂蟲』は、レベル8の10/10。
移動に制限が多少あるものの、かなり強力な大型ユニットだ。
同時に、かなりのレアカードでもある。流駆たち3人も持っていない。

「流駆、もらっちゃえばどうだ?いらないなら俺にくれよ。」

炎がそそのかす。

「そうね。私のデッキには合わないし・・・でも、流駆のデッキにも合わないでしょう?」
「ああ。俺も使わないな。じゃあこれは炎のものということで。」
「よっしゃ!!」



そのとき、カードが淡い光を発した。

「なんだ?」

3人がそう思ったのもつかの間、カードが眩い光を放った。

「!?」

3人の目が眩む。










「・・・何なんだ?いったい・・・。」

最初に視力が回復したのは炎。

「カードが・・・光ったわよね・・・」

続いて、楓。

「・・・う・・・。・・・・・・!!」

流駆は、視力が回復したかと思うと、硬直してしまった。

「流駆、どうした?」

「・・・あ、あれ・・・(汗)」

その声に二人が振り向く。
そこには、大砂蟲がいた。
実在するはずのない、描かれている大砂蟲が。

「・・・ど、どういうことだよ・・・(汗)」

辛うじて炎が口を開く。

しばらくきょろきょろしていた大砂蟲は、3人を見つけると、
あろうことかその3人に迫ってきた。


このとき、3人の思考は完璧に一致した。


『逃げよう』

3人は元来た道を走り出した。
しかし、大砂蟲は地面に潜る。そして、流駆たちの目の前に出現した。

「・・・ど、どうするのよ・・・?」

怯えきった声で楓が言う。

そのとき、流駆は何かの声を聞いた気がした。

『私を呼びなさい』

それと同じような声を、炎と楓も同時に聞いた。

「なぁ、今何か言ったか?」
「私が聞きたいわよ。」
「・・・カードから聞こえた・・・。」

「・・・流駆、どういうことだ?」

炎の声を聞きながら、流駆はモンコレのデッキを取り出した。
そして、上から6枚のカードを引く。

「なにやってんだ?こんなときに・・・!?」

「大砂蟲、もうそこまで来てるわ!」

炎の声を掻き消すかのように、楓が叫ぶ。

「・・・炎。あの声は・・・こういう事なんじゃないのか?」

流駆は、6枚のうちの2枚を取り出した。

「『太陽を睨む天使』! 『ドワーフ王国警備隊』!」

流駆はそう叫ぶと、取り出した2枚を天に放った。

すると、大砂蟲ほど眩い光ではないもののやはりカードは光を放ち、
描かれているユニットが現れた。


流駆の、初めての勝負が始まろうとしている。


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