第2話 「実戦」
『よく我らの声に気付いたな・・・。』
流駆が召喚した『太陽を睨む天使』が言う。
「よくって・・・こいつらも気付いてたんだぞ?」
『・・・ま、まぁそんなことはどうでも良い。』
少し焦った顔の天使。
『あいつを倒せばいいのだな。だが・・手はあるのか?』
「大丈夫。考えてあるぜ。『ドワーフ王国警備隊』!これを持て!」
そう言って流駆は新たなカードをドワーフに向けて放った。
『『虹を受ける聖杯』か・・・。』
ドワーフが言う。ユニット1体の属性を変えるアイテムだ。
「それであいつの属性を『魔』に変えて、『太陽の槍』でしとめるんだ!」
指示を出す流駆。
「・・・なぁ・・・。」
それまで呆気にとられていた炎が話し掛ける。
「大砂蟲の方が、天使たちより速いぞ・・・?」
「え・・・(汗)」
太陽の槍のタイミングは「普通」。先手を打たれたらどうしようもない。
「や、やばい・・・。」
などと言っているうちに、大砂蟲の攻撃が襲い掛かる。
「(だめか・・・!?)」
流駆は、目を伏せてしまった。
「・・・あれ・・・?」
流駆が目を開けると、そこには眠っている大砂蟲の姿があった。
天使とドワーフは、無事だった。
「流駆、詰めが甘いわよ。」
「楓!そのユニットは・・・・・・悪ぃ、助かった。」
彼女の脇にいたのは、風のユニット『ホワイト・イエティ』。
このイエティが『眠りの粉』で大砂蟲を眠らせたのだ。
「じゃあ改めて・・・。『ドワーフ王国警備隊』!『元素付与』だ!」
流駆の声に応じ、ドワーフが持っていた杯を傾ける。
すると、杯から零れる虹のような光が大砂蟲を包んだ。
「綺麗・・・。」
楓が呟く。
「仕上げだ。『太陽を睨む天使』!『太陽の槍』を放て!」
『解った!』
天使は答えると、その槍を大砂蟲に投げつけた。
槍は大砂蟲の身体を突き抜ける。大砂蟲は消え去り、カードに戻った。
「でも、どうしてこんなことが起こったんだ・・・?」
炎が天使に話し掛ける。
彼は流駆たちの質問に答えるべくまだカードには戻ってない。
『おそらくは・・・六門世界とこちらの世界が
何らかの拍子で繋がってしまったのだろう・・・。』
「六門世界って・・・実在するの!?」
楓が叫ぶ。
六門世界は、本来のモンコレの世界だ。
『・・・実在していなかったら、私も大砂蟲もここにはいないはずだぞ。』
「あ、そうね・・・。」
『このままでは、こちらの世界もモンスターたちで一杯になってしまう・・・。』
「・・・それはそれで楽しいんじゃないのか?」
と、これは流駆の意見。
『凶暴で、人間を襲うものもいれば、
その存在自体が人間にとって脅威となるものもいるんだ。
流駆とやら。それが楽しいか?』
「楽しくない。」
即答だった。
『そこで、我らから若き召喚術師3人に頼みがある。
何とか、世界が繋がった原因を調べて、繋がりを断って欲しいのだ。』
「・・・そんな、唐突に言われても・・・なぁ?」
炎が同意を求める。
「あら、私はやってもいいって思ってるわよ?」
楓はあっさりとそう答えた。
「冗談だろ?学校はどうするんだ?」
「日曜とか、祝日とかを使えばいいじゃない。」
「ったく・・・流駆、お前はどうするんだ?」
流駆の意見を求める炎。
「決まってるだろ?」
流駆は、1拍置いてから話し出した。
「もちろん、答えはイエスだ。やるよ。」
「・・・お前ら、どうしてそんなにやる気があるんだ?」
呆れ顔で炎が聞く。
「決まってるでしょう。」
楓が答える。
『面白くなりそうだから。』
流駆と楓の声が見事に重なった。
「お前らは・・・解ったよ、俺もやるよ!」
「・・・と、いうわけで。引き受けるよ。」
『そうか!感謝する。・・・ぶしつけで悪いが、私はカードに戻らせてもらうぞ。』
天使はそういい残すと、カードに戻ってしまった。
そのカードは宙を舞うと、流駆のデッキに滑り込んだ。
「・・・さて、とりあえずは帰らないとな。」
流駆が言う。
「そうだな。デッキ調整をしないと・・・。」
「あ、私も。こんな大役任されたんだしね。」
「じゃあ、行こうぜ。」
流駆はそう言うと振り向いて歩き出そうとした。
「わぁぁっ!」
どて。
流駆は、石につまずき盛大にコケた。
「なぁ楓、どう思う?」
「ちょっと・・・前途多難ね・・・(汗)」