TOE小説
セイファート高校 第1話
〜騒動が始まる〜




「・・・今何時だ・・・?」


ベッドからのそのそと這い出てくる少年が1人。


「・・・やっべ、もうこんな時間!目覚ましかかってなかったのか・・・!」


少年はガバっと起き上がると、急いで服を着替える。


『リッドー!起きてる!?行くよー!』


「わかってるって!・・・ファラの奴、大声で言わなくても聞こえるのに・・・。」

愚痴りながらも、少年は着替えが終わるとすぐに外へ出た。



この少年の名はリッド・ハーシェル。
彼は今日から、「私立セイファート高校」という学校の生徒となるのだ。
因みに外見は、赤い髪に木製のチョーカー、地味な色合いの服。
彼の住む村ラシュアンの名産品「ラシュアン染め」の服である。


「おはよう、リッド。いよいよ今日から学校だね!」
「・・・俺に勉強させて、何になるってんだよ・・・ったく。」

リッドが家から出てくると、彼に話し掛けてくる少女がいた。
先程、家の外から大声でリッドに叫びかけた少女だ。


彼女はファラ・エルステッドといった。リッドとは幼なじみである。
彼女もまた、セイファート高校の一員となるのだ。
外見は緑色の髪、首にリボンをつけていて、やはりラシュアン染めの衣服を身につけていた。


「ところで、キールは?」
「え?もう転送装置まで先に行っちゃったよ。」
「・・・あいつ、そんなに勉強したいのか?らしいといえばらしいけど・・・。」













リッドとファラは、町外れの転送装置へやってきた。
これを使えば、この世界―――エターニアのどこへでも一瞬で行くことができる。
・・・ほんとは大きな街だけだけど、許してください(爆)

「・・・で、セイファート高校ってどこにあるんだっけ?」
「・・・リッド、まさかセイファート高校の場所を知らないなんて言わないよね?」
「腹がふくらまねぇもんには興味ねぇんだよ!」

間抜けなやり取りである。

「・・・セイファート高校はオルバース界面にあるの。わかった?リッド。」
「わかったよ、早くしようぜ。いきなり遅刻なんて洒落になんねぇよ。」

ファラは呆れながらも、セイファート高校の座標を入力する。
2人がカプセルに包まれる。次にカプセルが空いたときには、そこには誰もいなかった。















「うひゃ、結構混んでるな〜。」
「席は自由みたいだけど・・・どこか座れないかな?」

入学式の会場である体育館に入った2人はあたりを見回す。
すると、どこかから2人を呼ぶ声が聞こえてきた。

「・・・リッド!・・・ファラ!・・・こっち来るがいいよ!・・・」
「!あの声は・・・!」
「メルディ、だな。」

2人は、声のした方向へと向かった。




「リッド!ファラ!」
「2人とも、やっと来たか。」

2人が声のもとにたどり着くと、そこには褐色の肌をした少女と青い髪の少年がいた。

「メルディ!それにキールも!」

ファラが声を上げる。

「・・・キール、どうして先に行ったんだよ。」
「寝坊したお前が悪いんだろ。」



先程からキールと呼ばれているこの少年、本名はキール・ツァイベルという。
リッド、ファラとは幼なじみである。
だが身に纏っているのはラシュアン染めの服ではなく、
ミンツという街にある大学の学生服だった。

「だいたいよ、お前はミンツ大学に行ったんじゃなかったのか?」
「・・・追い出されたんだよ・・・何故か・・・。」

ということで、ここに入学することになったらしい。



「メルディは嬉しいよ。みんなとおんなじ学校に通えるからな♪」



この褐色の肌の少女、名はメルディ。
額にはエラーラと呼ばれる発光レンズがついている。
彼女がセレスティア人である証拠だ。
だが、着ている服は何故かラシュアン染め。元々はファラの服であった。
リッドたちとは、ちょっとしたきっかけで仲間となった。



「え〜、皆さん、静粛に。これより、第X回セイファート高校入学式を行います。
まず始めに、校歌斉唱。全員、起立!」

ガタガタとうるさい音を立てて新入生達が立ち上がる。
校歌が流れ出すが、流石に完璧に歌える新入生はほとんどいない。

「歌えないんじゃダメだよう〜。」

と、メルディは言いつつも、足は音楽に合わせてステップを取っている。
因みに、決してアップテンポな曲であるわけではない。

「・・・リッド、歌えないんなら歌うな。うるさい・・・。」
「・・・悪かったなぁ。」

リッドはどうにかして歌おうとしていた。しかし、彼は歌は上手ではない。

「・・・リッド以外にも何か・・・変な声というか・・・音程が・・・。」

ファラが周りを見渡す。程なくして、声の元凶を見つけた。
歌っていたのは、茶色の髪の少女であった。
何故かリュートを背中に背負っている。


それから少しして、校歌斉唱が終わった。



「全員、着席。続いて、校長先生から祝辞を頂きます。マクスウェル校長、お願いします。」

司会の言葉を受けて、灰色の服を来た老人が壇上へ立った。


「え〜・・・新入生の皆さん・・・入学おめでとう・・・。」

何故か言葉が途切れ途切れだ。

「・・・はて・・・次は何を言うんじゃったかのう・・・?」

どうやら、老人特有の痴呆症、俗世間的に言えば、ボケているようだ。


「・・・マクスウェル校長、ありがとうございました。降壇してください。」


どうやら、なかったことにするようだ。


「続きまして、ゼクンドゥス教頭よりお言葉を頂きます。教頭、登壇してください。」


次に壇上に立ったのは、シンプルな服装の金髪の先生。若そうだ。 何か球状のものが彼の周りを回っているが・・・。


「私が教頭のゼグンドゥスだ。時間がもったいないので、これで終わりとする。」


教頭はそう言うと、さっさと降壇してしまった。
新入生達、唖然。


「・・・最後に、生活指導の先生からお話があります。レム先生、お願いします。」


今度壇上に上がってきたのは、どこか光り輝いて見える女性の先生だ。
よく見ると、背中から翼が生えている・・・。

「わらわが生活指導のレムじゃ。
生活指導とは言っても、この学校では、基本的に俗世間の常識は通用しない。
だから特に何か話す必要もない。まぁ強いて言うなら、酒と煙草は禁止じゃ。」


生徒達、動揺。


「これにて、始業式を終了します。この後、各クラスでホームルームがありますので、各教室へ向かってください。」


司会の声が響き、始業式が終わった。だが、すぐに動けるような新入生達はごく少数だった。


「・・・俺に平穏な暮らしはないのか・・・?」
「・・・やっぱりミンツ大学に戻りたい・・・。」
「大丈夫だって。イケる、イケる!」
「ワイール!おもしろそうだな〜。」



これからの学生生活を悲観する男2人と、楽観する女2人。
誰がなんと言おうと、この4人は今日からセイファート高校の一員となる・・・。



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