夜が明けて。
ライたちは町の中心にある神殿のような所へ向かった。
ここから他の地への出入りをするのだ。
「では、こちらへどうぞ。」
僧衣のような服を着ている人に案内され、4人は建物の中心部にやってきた。
そこは、壁に亜空間がある部屋だった。
「これに入るんですか?」
ライが訊ねる。
「ええ。ここから他の地にあるパレスへと飛ぶのです。」
そう案内人は答えた。
「・・・行きましょう。」
スフィアはそう言うと、亜空間へ飛び込んだ。
残りの3人もそれに続いた。
「・・・ここは・・・。」
ライが口を開いた。
4人が立っているのは、光の地にあった建物と同じもの。
しかし、そこから見える町並みは、光の地のパレスとは明らかに違った。
「ここが・・・水の地か。」
コウが解りきったことを口に出した。
「とりあえず・・・、どうするの?」
「私は屍水魔団について聞き込みをするわよ。」
フィーナの問いに、スフィアが答える。
「じゃあ、私も聞き込みをするね。ライたちはどうするの?」
「とりあえずすることもないし、僕も聞き込みをするよ。」
「俺もだ。」
「じゃあ、1時間後に再びここへ集合とするわね。」
4人は、ばらばらになって町へ向かった。
1時間後・・・。
4人が集まった。しかし、情報を手に入れたのは1人もいなかった。
再び4人は情報収集に出た。
さらに1時間後。
やはり、誰も情報を手にいれることは出来なかった。
日も既に傾きかけていた。
「仕方がない、今日はとりあえず宿を探そう。」
ライの意見に、全員が無言で返事をした。
そして、4人は歩き出した。
すると、どこからか煙が上がっているのをフィーナが見つけた。
「火事・・・?」
4人は煙の方向へ向かった。
やはり、そこでは火事が起こっていた。
周りにいた人々が水魔法で懸命に消火活動をしている。
ライとフィーナも、消火にあたった。
「・・・にしても変だな・・・。ここには全く火の気が無かったというのに・・・。」
消火活動にあたっている一人が言うのが、
そばで見ていたコウの耳に入った。
「・・・ん・・・?」
言葉が耳に入ったのと同時に、
コウはなんとなく違和感を抱かせる女を見つけた。
その女は、そこから立ち去っていった。
「スフィア、ここを頼む。」
「え?ちょっと、コウ!どこへ!」
コウは、その女を追った。
パレスから出たところで、コウは女に声をかけた。
「ちょっと待て。」
女は、振り向いて答えた。
「何か用でも?」
「何故あの場から立ち去ったんだ?」
コウが少し強い口調で尋ねる。
「何故そんなことを聞くのだ?」
女も動じずに答える。
「・・・ならば質問を替えよう。」
コウは、口調を変えずに言った。
「あの火事を起こしたのはお前か?」
「・・・はっはっはっは、面白いことを。その証拠はどこにある?」
嘲笑しながら女が尋ねた。
「・・・お前から炎のエレメントを感じた。
エレメント魔法を身につけている者なら、そのエレメントを
持つ者が解るようになるというのは知っているだろう。」
女の顔から、笑みが消えた。
「あの場で炎のエレメントを持っていたのはお前と俺の仲間だけだった。
その仲間は俺達と一緒にいた。・・・これ以上はもういいだろう。」
女は、静かに口を開いた。
「・・・ふふふ。そうだな。確かに私がやったのだ・・・。これのためにな。」
そう言って女が出したのは、宝石だった。
その宝石からは、強くエレメントの力が感じられた。
「・・・結晶化か。もう1つ質問したくなった。・・・お前は屍水魔団か?」
「教えてやろう。そうだ。もっとも、数少ない炎魔法使いだがな。
・・・おしゃべりはもういいだろう。いくぞ!」
女は、いつの間に唱えていたのか魔法を放った。
「ブレイズ・ファング!」
コウはそれをかわすと、ガントレットの魔力を開放した。
そして、魔法を唱えた。
「ライト・アロー!」
すると、光の矢は2本現れ、女に向かって飛んでいった。
しかし、女も既に次の魔法を唱え終わっていた。
「エビル・シュート!」
黒い塊が、光の矢を砕いた。
女は、そのままコウに突っ込んでくる。
手には、いつのまにか剣が握られていた。
「死ねぇっ!」
ドカッ!!
女は崩れ落ちた。
剣でコウの胸を刺す前に、コウのレイピアが女の胸を貫いていた。
コウがレイピアを抜くと、あたりに血が飛び散った。
「もう1つ聞かせてもらおう。」
コウが、倒れている女に向かって言った。
「お前らのアジトはどこにある?」
「・・・ここから・・・ゲフッ!・・・北だ・・・」
「・・・?ずいぶん素直に喋ったな・・・。」
「ガハッ!・・・何故なら・・・私はお前を道連れにするからな・・・。」
「・・・今のお前に何ができる。」
女は、懐から宝石を出し、砕いた。
すると、女はとてつもない魔力を放ち始めた。
「・・・!」
「・・・ダーク・プロージヴ。」
闇が、弾けた。
「くっ・・・危なかった・・・。」
コウは、パレスへ戻ろうとしていた。
爆発の直前、とっさに後ろに下がり、衝撃を軽くしたのだ。
それでもダメージはあるが、とりあえずリカバリーで応急処置をとった。
「とりあえず・・・ライたちに報告だな・・・。」