第9話


「着いた。ここがパレスだ。」

ライが言う。

「どこから水の地へ行けるのかしら・・・。」

と、スフィア。

「すぐ行くの?少し町見てからにしようよ。」

甘えるような口調のフィーナ。

「そうだな・・・。この先、何か必要になるかもしれないからな。」

コウがその意見に賛成する。

「ここなら大抵のものは揃うし。少し買い物して行かないか?」
「・・・そうね。じゃあ、出発は明日にしましょうか。」
「いいけど・・・コウ、まだ金残ってるか?」
「・・・大丈夫だ。少しなら使える。」

いまいち弱気なコウ。
とりあえず男性2人と女性2人に分かれ、近くの宿でおちあうことにした。















武具屋。
ライとコウは、主に廉価なガントレットやグリープを物色している。

「コウ、これはどうだ?」
「・・・あまり強い魔力はこもってないな。」

そんな2人に、店主が話しかけて来た。

「何を探してるんだ?」
「魔力を高める防具を探しているんだけど・・・。
あんまり予算がなくて・・・。」
「ほう・・・ん?」

店主はライの剣に目をつけた。

「なぁ、あんたが持っている剣・・・結構な代物じゃないのか?」
「・・・え?」
「ちょっと見せてくれよ。」

ライは、剣を店主に見せた。

「これは・・・。なぁ、この剣を譲ってくれないか?
そうしたらこの中の好きなものを持っていってもいいぞ。」
「・・・つまり、それだけ貴重なものなんだな?」

コウが言う。

「・・・まぁ、そうさ。だからこういう取引を持ちかけたんだろ?」
「でも、この剣は父さんの剣だから・・・譲れないですよ。」

「そうか・・・。ま、しょうがねぇわな。」
「ところで、この剣のどこが貴重なんですか?」

ライが訊ねる。

「魔法を吸収してまた打ち出す・・・って能力が魔武器全体で珍しいんだよ。」
「そうなんですか?」

「この際だから教えてやるよ。
魔法の武器・・・魔武器には大きく分けて3つの種類がある。
1つは、あらかじめ1つの魔法が封印されている武器。
次に、武器の持ち主の魔力を高める武器。
そして、あんたが持ってるのが魔法を吸収して
その魔力を宿らせ、また放つ武器。この3つだ。」

店主は、そこで一呼吸置いた。

「ま、その中でも3つ目の奴・・・あんたが持ってるような魔武器は
希少価値が高いって訳だ。」
「そうだったんですか・・・父さん、どうやってこんな剣手に入れたのかな・・・。」

結局2人は、店主が勧めたガントレットを購入して武具屋を去った。









一方、スフィアたちは。

「フィーナ、一体何を買うの?」
「ん〜、考えてないよ。」

「・・・へ?」

頓狂な声を上げるスフィア。

「・・・どういうこと?」
「だって、これから考えるんだもん。」
「あ、そう・・・。」

しばし、歩く。
すると、2人は誰かにつけられている事に気づいた。

「・・・姉さん、どうする?」
「そうね・・・。屍水魔団・・・とは考えずらい連中だし・・・。」

そう、つけているのはその辺にいるような町のごろつき達だった。
2人は、人通りの少ない路地に出て、そのごろつきらと顔を合わせた。

「あなた達・・・何か用?」
「何、ちょっと俺らと付き合ってくれればそれでいいんだよ。」

スフィアは、そこでため息をついた。

「馬鹿馬鹿しいわね・・・。行きましょ、フィーナ。」
「ハン!逃げられると思うのかよ!」

リーダーらしい男がそう言うと、周りから数人の男達が2人を取り囲んだ。

「・・・さあ、俺らと行こうぜ?」

男が下品な笑いを浮かべながらフィーナの手を掴もうとしたとき、
フィーナは槍の石突きの部分で男を殴った。
予想外の攻撃に、男は昏倒した。

「珍しく成功したわね・・・。」
「たまにはこういうこともないとね。」

スフィアの言葉に答えるフィーナ。
そして、魔法の詠唱を始めた。

「や、やっちまえ!」

ごろつきの一人が言う。
しかし、フィーナの魔法は完成していた。

「ウォーター・ウィップ!」

フィーナの操る水の鞭が、ごろつき数人をまとめて薙ぐ。
その一撃で、他のごろつきたちも逃げてしまった。

「さて・・・、行きましょ、姉さん。」
「ええ。」

二人は、再び町へ繰り出した。
















そして真夜中。
ライ達4人は、特訓のために外に出た。
今日はそれぞれが思い思いに特訓をしている。

ライはフィーナから水魔法を学んでいる。
コウは昨日身につけた炎魔法に独自のアレンジを加えようとしている。
そして、スフィアはひたすらに自分の炎魔法の特訓。

そんな中、コウが何かに気づいた。

「・・・何だあれ?人だかり・・・?」

そこには、昼間のごろつき達が10人程度でやって来ていた。

「そこのお嬢さん方・・・昼間は世話になったな。」
「・・・誰?」

ライが訊ねる。

「買い物に出てるときに私達に絡んできたんだよ、そいつら。
ちょっと懲らしめてやったんだけどね。」
「ああ。だからその仕返しに来たんだよ。
見慣れねぇ野郎が2人ほどいるがな・・・。」
「・・・また、痛い目に遭いたいわけ?」

スフィアが言う。

「今度はこちらにも魔導師がいるんだよ。おいっ!」
「おいおい、もう俺がやるのかよ?早すぎやしねぇか?」

一人の男が前に出てきた。

「・・・僕がやるよ。下がってて。」

ライも前に出る。そして剣を抜いた。

「1体1か、面白れぇ。・・・お前ら、手出すなよ!」



「行くぜ!フレイム・ショット!」

2,3個の炎のつぶてがライに飛ぶ。
もちろんライには当たらない。
ライも、魔法を放った。

「ウォーター・ウィップ!」

ライの剣を持ってない手に水の鞭が生まれた。
それを叩きつけようとするライ。だが・・・。

「ヘタクソ!全然当たらねえじゃねぇかよ!」

そう。ウォーター・ウィップを覚えたてのライに、技術があるはずも無かった。

「これならどうだ!ウォーター・ウィップ!」

ライは、剣にウォーターウィップをかけ、男に放った。
すると、放たれた鞭がまるで意思があるかのように男を打ち据えた。

「グガッ!」

男は、意識を失った。

「畜生!おめえら、行くぞ!」

ごろつき達が、ライに向かって一斉に向かっていった。








数十秒後。
ごろつき達は全員意識を失っていた。

「ライ!」

コウがライに向かう。
スフィアとフィーナも後に続く。

「大丈夫か?」
「ああ、平気さ・・・ちょっと一撃受けたけどね。」

ライの腕に、切り傷があった。
そして、ライは魔法を詠唱し始めた。

「キュア・ウォーター。」

どこからとも無く現れた癒しの水が、ライの傷を完全にふさいだ。
そこで、スフィアが口を開いた。

「もう遅いし、宿に戻らない?」
「賛成。私眠いよ・・・。」
「そうだね。明日もあるし。」
「明日は、水の地か・・・。」


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