第8話


一夜明けて。
ライ達は宿を後にし、旅を続けている。
そんな中、コウがスフィアに疑問を投げかけた。

「なぁ、屍水魔団の本部って何処にあるんだ?」
「水の地にある、ということまでは突き止めたんだけど・・・。
それ以上のことはまだ解らないわ。」

・・・しばし、沈黙。

「じゃあ、ひとまずの目的地は決まったね。」

そう言ったのはライ。

「・・・パレス、だね?」

フィーナが答える。

この世界は、エレメントによって6つの地に分けられている。
パレスとは、全ての地に必ず1つある町のことで、
他の地への出入りはパレスからしか出来ない。

「パレスは・・・ここからだと近いな。2日も旅を続ければ着く・・・かな?」

1行は、心なしか歩みが速くなっていた。





この日は屍水魔団の襲撃も無かった。
その夜、4人は宿の部屋をとった後、近くの空き地に出かけた。
スフィアがファントム・フレアを使ってみると言い出したのだ。

「大丈夫?」

心配するフィーナ。ライとコウはただただ見守るばかり。

「・・・じゃあ、始めるわよ。」

スフィアは、静かに呪文の詠唱を始めた。
近くにあった大きな岩を標的にして。

「・・・奈落の下に潜める紺碧の炎よ。
全てを喰らい尽くす魔性の炎よ。
我、ここに汝を呼び出さん。
一時、我の意に従え。
我が願うは怨敵の滅び・・・ファントム・フレア!」








「発動・・・しないな・・・。」

静かにコウが言った。

「・・・ダガーの力、使ったの?」

ライが訊ねる。

「・・・いえ、使ってないわ・・・。でも、今下手にダガーの力を使って放っても
私は魔力を吸い取られて、死ぬでしょうね。」

魔法は、その威力に相応した魔力を持たないものが使用すると、
全く威力に足らない魔力だったら何も起こらない・・・が、
下手に魔力が高かったりすると、魔法に魔力を吸い取られて・・・死ぬ。

「じゃあ・・・特訓しない?」

提案者はフィーナ。

「特訓?」

スフィアが聞き返す。

「そう。それに、よく考えたら私達、
ライ達がどのぐらいの実力なのか知らないんだよ?」





「僕は、雷魔法以外はほとんど魔法を使えないんだ・・・。
後はこの剣に頼ってる。」
「俺は、光魔法をいくつか。」
「あれ?そのレイピアは?」

フィーナが訊ねる。

「ライの剣ほどじゃないが、そこそこ使えるという自信はあるぜ。」
「・・・そうなのか?」
「お前は俺がレイピアを使っている所を見たこと無いからな。」
「・・・ねぇ、ちょっと手合わせしてくれない?」

スフィアがコウに話し掛ける。

「・・・別にいいけど。」














コウとスフィアは、少し離れて向き合った。
ライが審判となる。

「・・・はじめっ!」
「ブレイズ・ファング!」

スフィアの術が放たれた。
しかしコウは難なくかわす。

「・・・フラッシュ・ミスト!」

光の霧が生まれた。
スフィアの視界を奪う。さらに、突然の明かりだったために
目そのものも眩んでしまった。

「ライト・アロー!」

スフィアは辛くもこれを避け、霧から抜け出した。

「・・・結構やるわね。私も奥の手を出そうかしら。」
「奥の手・・・?」

怪訝な顔をするコウをよそに、スフィアは魔法の詠唱を始めた。

「闇を照らす浄化の炎よ。神聖なる姿をとり、我が敵を焼け・・・」
「この魔法・・・!本気かよっ!」

スフィアの魔法は完成した。

「フェニックス・ファイア!」

スフィアがかざした手の先に、不死鳥を模した炎が生まれた。
そして、スフィアはその炎を放った。・・・コウに向かって。
あわててコウも魔法を唱える。

「・・・ホワイト・ロザリオ!」

その魔法は、せまりくる火の鳥を上方へそらした。。

「その辺にしたらどう?」

ライが言う。

「そうね・・・。ちょっと、やり過ぎたかしら。」
「・・・あれでちょっとかよ・・・。」

疲れ果てた口調で言うコウ。

「でも、スフィアってかなりの魔力の持ち主だったんだね・・・。」
「このダガーのおかげよ。魔法を放つ前に、魔力を増強させたの。」

涼しげな顔で答えるスフィア。

「ところで・・・フィーナは?」
「もう夜遅いからね。寝ちゃったよ。」

ライが答える。フィーナは、その後ろで静かな寝息を立てていた。

「ライ、フィーナ連れて先に戻ってくれ。
俺はスフィアに炎魔法を少し学ぶ。いいだろ?2人とも。」
「別に構わないわよ。」「解った。じゃあ先に戻ってるよ。」

ライはフィーナを抱え、宿に戻った。
コウは、スフィアから炎魔法を学んだ。
魔法の素質があるコウの学習速度は早かった。
そして、コウとスフィアの2人もあまり遅くならないうちに宿へ戻った・・・。


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