ライ、コウ、フィーナの3人は、青白き炎に見入っていた。
炎がおさまると、そこにはシェリルが倒れているのみだった。
「なんて威力だ・・・。」
ライが呟く。
ドサッ
「・・・!姉さん!」
倒れこんだスフィアにフィーナが走り寄る。
そこにあったのは、砕けたダガーとガントレット。
スフィアの顔は、蒼白だった。
「姉さん!姉さん!しっかりして!」
「う・・・フィーナ・・・?」
か細い声で呼びかけに答えるスフィア。
ライとコウも走り寄って来ていた。
「シェ・・・シェリルは・・・?」
「もう終わった。スフィア、もう喋るな・・・!」
スフィアの質問に、ライが答える。
「そう・・・よかった・・・でももう・・・私も・・・駄目みたい・・・。」
「やだよ!!姉さん、私をひとりぼっちにしないでよ!!」
泣きながら言うフィーナ。
「1人じゃないわよ・・・ライもいる。コウもいる。
決してあなたは・・・ひとりぼっちなんかじゃない・・・。」
「そう・・・ひとりじゃない・・・。」
「・・・・・・。」
「ライ・・・コウ・・・フィーナを・・・ひとりぼっちに・・・しな・・・い・・・で・・・。」
スフィアの瞼は、閉じられた。
「スフィア!」
「しっかりするんだ!」
「姉さん!お願い、目を開けて!!」
3人の叫びも虚しく、その目が再び開くことは無かった。
「やだよ、いやだよ!姉さん、姉さん!!
うわあぁぁぁぁっ・・・・・・!!」
慟哭。
フィーナの目から、涙が溢れ出る。
ライとコウは、それを見守ることしか出来なかった。
「ウォーター・ウィップ!」
水の鞭が、スフィアの身体を絡め取った。
そして、それは宙へと舞う。
「あはははは!死んだ!死んだわ!これであと一人ね!」
「そ、そんな・・・。」
水の鞭の持ち主は、シェリルだった。
「フェンリルの魔力のおかげで助かったわよ。この娘は無駄死にね!!」
狂気じみた笑いをあげるシェリルに、3人は憎悪の視線を送る。
「その魔法を解きなさい。」
普段とはかけ離れた冷淡な声で、
しかし目に涙を浮かべたままフィーナが言う。
「そうはいかないわよ・・・フリジング・カース!」
棺のようにも見える氷の塊でスフィアの体は包まれた。
「・・・!ウインド・スラ・・・」
「いいのかしら?これに当っても。」
フィーナの魔法は止まった。
「そこの人。動いちゃ駄目よ。」
「・・・ばれてたか・・・。」
死角から斬りつけようとしたライ。
「これからとても美しいものを見せてあげるわ。」
「・・・美しいもの・・・?」
シェリルはそう言うと、スフィアが封じられている氷塊を高く持ち上げた。
「・・・!やめろ!!」
いち早く察したライが走る。
「もう遅いわよ・・・。」
バキィィィィィッ・・・・・・・
シェリルは、氷塊を叩きつけ、砕け散らせた。
・・・封じられているスフィアもろとも。
「砕けた・・・砕け散ったわ・・・!!」
「・・・い、いやぁぁぁぁぁっっっ!!!!」
哄笑するシェリルに、絶叫するフィーナ。
「うあぁぁぁっ!」
ライは、シェリルにがむしゃらに斬りかかった。
そのとき、氷の破片が光を放ち始めた。
「・・・こ、これは・・・。」
ライ、コウ、フィーナ、そしてシェリルまでもが見入っている。
氷の破片は、やがて浮かび上がり、1箇所に集まる。
そして、ひときわ眩い光を放った。
ライたちの視力が回復すると、そこには刀身が紅い1本の槍があった。
「・・・エレメントの・・・結晶化・・・。」
コウが呟く。
その槍にシェリルが近づく。
「小賢しい・・・これも砕いてやる!」
シェリルが槍を持とうとしたとき、槍からものすごい炎が巻き起こされた。
シェリルが槍を持つのを拒むかのように。
その炎が治まると、槍は浮き上がり、フィーナのもとへ飛んできた。
「・・・姉さん・・・。」
フィーナの目から、再び涙が零れる。
しかし、彼女はそれをぬぐうとその槍を持った。
「シェリル・・・決着をつける!」