第15話


「殺してやる・・・殺してやる!」

シェリルはそう叫ぶと、自らの手に氷柱を出現させた。 彼女はそれを剣代わりにしている。

「ライ、コウ・・・手出ししないで・・・。」

フィーナが静かな声でライとコウに言う。2人は無言で頷いた。

「いくわよ・・・スノー・ヴェルダン!」

無数の雪の刃を放つと同時に、自らも突っ込むシェリル。

「そんなもの!」

フィーナが槍を一振りすると、刀身から炎が噴き出した。
その炎は雪の刃を水へと変えていく。

「死になさい!」

氷柱をフィーナの心臓に突き立てようとするシェリル。
しかし、氷柱は槍に止められた。

「私は死なない。誰も悲しませたくないから!」

フィーナは叫んだ。
シェリルはそれを聞くと、再び攻撃を放つ。
ありったけの力を込めた一撃を。
それに対応すべく、フィーナも渾身の一撃を放った。





2人は間合いを取った。
渾身の一撃同士のぶつかり合いで、2人とも腕に痺れがきていた。

「ハァッ!」

フィーナが槍の炎を撃ち出した。
シェリルは氷柱で受け止める。あっけなく炎は消えた。
2人の武の実力は伯仲していた。

「面倒だわ・・・これで殺す!」

シェリルは禁呪の詠唱を始めた。
それに気付いたフィーナは、再び炎を放つ。
しかし、その炎が届く前に詠唱は終わっていた。

「フェンリル・レイバー!」




















































「な、何なの・・・?」

フィーナが呆然として呟く。
ライ、コウの2人も驚愕している。
3人の視線の先では、巨大な青い光が存在している。
そして、同時に倒れているシェリルも。

「あの光に・・・エレメントの力を感じる・・・?」

コウが言う。光は、いわば「水」のエレメントそのものだった。
その光は、シェリルの身体に宿る守護のエレメントを吸収していた。
そのエレメントもまた、「水」である。

「・・・魔力の暴走だろうけど、けどそれだけなのか・・・?」

ライはそう呟いた。3人とも光に手が出せないでいる。
光は、ただシェリルのエレメントを貪っていた。
そして、エレメントがなくなると光は忽然と姿を消した。

「・・・シェリル!?」

フィーナが走って近寄る。
シェリルの顔には、血の気が無い。もう、事切れていた。












3人は近くの村へたどり着いた。
もう夜は更けている。フィーナは死んだように眠っていた。
しかし、ライとコウに眠る気配は無かった。

「よく眠っているな。」
「色々あったからな。楽しい事や、辛い事。疲れたんだろ。」



「コウ・・・あの光、何だったんだ?」

ライが問う。
しかしコウは首を横に振る。

「解らない。だが・・・エレメントに関係していることだけは確かだ。」
「あれは、禁呪の暴走によるもの・・・でも変だな。
スフィアはちゃんと発動しているのに対し、シェリルは・・・。」
「ああ、禁呪自体は発動してない・・・。一体、何なんだ・・・?」

考え込む2人。その時、小さな声が聞こえた。

「う、うん・・・姉さん・・・。」



「寝言か・・・。」

ライが言う。

「スフィアのこと、よっぽど慕ってたんだな・・・。」

コウがそれに続く。

「こんな年で、家族を失っているんだ・・・。」

重い沈黙。
そのまま、何も言わず、2人は眠ることにした。















翌朝。
3人は、旅の準備を整えている。
そんな中、フィーナがライに話し掛けた。

「ライ、これからどうするの?」
「・・・あては無いよ。元々、自分の目的を探すために旅をしてるんだからね。」
「ふうん・・・。」

しばしの間。
今度は、コウがフィーナに話し掛ける。

「フィーナはどうするんだ?」
「私は、炎の地へ行こうと思う。私の故郷へ・・・。」

間を置いて、フィーナはライたちを見つめて言った。

「一緒に炎の地へ行こうよ。これから、一緒に旅をしようよ。」

ライとコウは、もちろんと言わんばかりに縦に頭を振った。
3人は一路、パレスを目指す・・・。


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