「さて・・・、どこに行こうか?」
クルクが3人に呼びかける。
「そうだな・・・。」
コウが答えた。ただし、そこから先は出てこない。
どこへ行けばいいのか思いつかないのだ。
「ライ、どうするの?」
フィーナがライに聞く。
「あては全く無いけど・・・、今僕がやりたいことはある。」
「・・・何だ?」
次に訊ねたのは、クルク。
「まずは、エレメントについて調べたい。
クルクは直接見ていないけど、僕らはエレメントそのものとも言えるものを見た事がある。」
「エレメント・・・そのもの?」
怪訝な顔をするクルク。
「僕らが戦っていた屍水魔団の団長・・・シェリルが禁呪の使用に失敗して、
魔力が暴走したときに現れたんだ・・・。青い、光のような。」
「・・・それで、どうなったんだ?」
クルクが続きを促す。
次に話し出したのは、フィーナ。
「その光のようなものは、シェリルの魔力を・・・エレメントを吸い尽くして消えた。
もちろん、シェリルは死んじゃった・・・。」
「・・・つまり、ライはその正体を知りたいんだな?」
と、クルク。
「そう、それが1つ。で、もう1つやりたいことはあるんだ。」
「・・・黒ずくめの男について・・・じゃないのか?」
コウが言う。
「その通りだよ、コウ。」
「黒ずくめの男?」
今度はフィーナが訊ねる。
「これは僕らが旅に出る前の話なんだけど、
僕の住んでいた村が焼かれそうになったことがあるんだ。」
ライの話に、フィーナとクルクは聞き入っている。
「そのとき、僕とコウは、犯人であろう黒ずくめの男を見つけた。
その男は、僕が「雷」のエレメントを持ってるって知っていたんだ。
それまで、僕自身も知らなかったのに・・・。」
「そして、その男との戦いの中で、「雷」のエレメントは目覚めた。
そのとき僕が無意識のうちに使った魔法が、ブルー・プラズマだったんだ。」
「ふうん・・・って、じゃあライは「雷」のエレメントを持ってるのか?」
驚きの声をあげるクルク。
「・・・ああ、そうだけど・・・?」
「雷魔法、見てみたいな・・・ちょっと使ってみてくれよ。」
「・・・いやだ。」
「・・・へ?」
「簡単に、この魔法・・・いや、この力を使いたくないんだ・・・。」
ライは、拳を握り締めながら言った。
「・・・何か、因縁でもあるのか?」
クルクが聞く。
「・・・無い。でも、これは簡単に人を殺す力を持っている・・・。」
少し間を置くライ。
「それに、僕が関っている人が既に1人死んでるんだ・・・。」
「・・・」
沈黙する一同。
それを破ったのは、フィーナだった。
「でも、姉さんは絶対ライを恨んでなんかいないよ。」
「・・・そうだな。特に「雷」の力が関係しているわけでもないんだ。」
フィーナに続いて、コウも言う。
「そう・・・だね。」
ライの顔が、穏やかになった。
「じゃあとりあえず、話を戻すよ。これはあくまで推測なんだけど・・・。」
ライの声のトーンが、低くなった。
「黒ずくめの男と、エレメント・・・何か、関係があるんじゃないのか・・・って思うんだ。」
「・・・どういうことなんだ?」
クルクが疑問を投げかける。
「・・・わからない・・・。」
ライは下を向き、そう答えただけだった。
「あ、村だよ。」
先頭を歩いていたフィーナが言う。
「ライ、ここで悩んでてもしょうがない・・・。行くぞ。」
コウも、村へ歩き出している。
その後をライ、クルクが続いた。
「・・・どういうこと・・・?」
フィーナが呟く。無理も無かった。
村の中を歩いている人・・・村民とおぼしき人物がいなかったのだ。
「ここは、ゴーストタウンか・・・?」
呆れたような口調でコウが言う。
すると、そこに割り込んでくる言葉があった。
「そんな訳ない。俺は数日前にここを訪れているんだぞ。」
クルクだった。
「じゃあ、その数日の間に・・・何か・・・。」
と、ライはそこまで言ったところで殺気を感じた。
他の3人も臨戦体勢になる。
「・・・出て来たらどうだ。」
押し殺した口調でライが言う。
物陰から、黒ずくめの男が1人現れた。
「お前は、あいつと同じ・・・!」
そう、その男はライの村を襲った男と同じ要望だった。
「言え!お前らは一体何者なんだ!」
ライの叫びに、男は答えない。
短剣を持ち、魔法の詠唱を始めた。
「・・・!!みんな、俺の後ろに下がれ。」
「何故?」
「早く!」
コウは3人を自分の後ろに下げると、自分も魔法を詠唱し始めた。
そして、男は、はっきりと言った。
「死ね。雷使い。」
すぐ後に、2人の詠唱がほぼ同時に終わった。
「ダーク・プロージヴ!」「ホワイト・ロザリオ!」
黒い爆発が起こる。
闇は、光の十字架を避けるように撒き散らされた。
「・・・みんな、無事か?」
「ああ、なんとか・・・な。」
「・・・一体、何なの?」
コウの問いかけに、フィーナ、クルクが答えた。
しかし、ライだけはあさっての方向を向いている。
「どうした?ライ。」
コウが声をかける。
「コウ、教えてくれ・・・。」
「どうして、僕は狙われなきゃならないんだ・・・?」