「どうして、襲われなければならないか、か・・・。」
ゆっくりと、コウが言う。
「そんなもの、そこの奴らに聞けばいいだろう?」
ライははっとしてあたりを見回した。
コウ、スフィア、クルク以外に人気はない。
あったのは・・・殺気。
「まだ、いるのか・・・!?」
その声に反応してか、先程と同じ容貌の男がかなりの数現れた。
『・・・殺せ・・・雷使いを殺せ・・・。』
その男達は口々に、しかも無機質にそう言い続けている。
「・・・こいつら・・・正気じゃないな・・・。」
クルクが呟く。
確かに、男たちの顔に生気がない。
「何かに洗脳されてるとでも・・・?」
ライが答える。
そう言っている間にも、男たちは魔法の詠唱を始めている。
「とにかく今はここを何とかしよう。そうしないと先なんてないよ!」
フィーナはそう叫びながら、槍から炎を迸らせている。
「そうだな・・・ライト・アロー!」
コウはその声に答えて、すかさず唱えていた魔法を放った。
光の矢が、黒ずくめの1人を、大きく弾き飛ばす。
「ま、それもそうか・・・せやっ!」
クルクも悟ったらしく、別の黒ずくめを掌底の1撃で沈黙させる。
しかし、ライだけは未だに剣さえ抜いていない。
「ライ!しっかりしろ!」
コウが叫ぶ。
「・・・コウ・・・僕は、どうしたらいいんだよ・・・!」
弱々しい声で訊ねるライ。
コウの答えは、すぐに返ってきた。
「その答えを見つけるのがこの旅の目的だろう・・・忘れるには速すぎるぞ。」
「・・・そう、だったな。」
ライは、剣を抜いた。
「1人位捕まえて、知っていることを全て話してもらおう!」
そう言って魔法詠唱を始めるライ。
それに気付いた黒ずくめたちも襲いかかるが、魔法の方が早かった。
「スパーク・チェイン!」
電撃の鎖が、黒ずくめたちを気絶させる。
「雷魔法・・・!」
クルクが驚嘆のまなざしを向ける。
「でぁぁっ!」
ライは、剣を振りかぶり、黒ずくめたちの中へ突進した。
その突然の行動に、黒ずくめたちは一瞬対処が遅れた。
1撃を叩き込むライ。ただし、剣の腹の部分で。
また一人、黒ずくめが昏倒した。
「ライ、きりが無い。何とかして片付けられないか!?」
「・・・わかった。みんな、ちょっと離れてて。」
ライは1歩前に立ち、魔法詠唱を始める。
その詠唱はすくに終わった。
「ウォーター・ウィップ!」
ライは水の鞭を、空へ向かって撃ちだした。
その様子を見た黒ずくめたちは、ライに襲い掛かる。
ライは、水の鞭の制御を止めた。
そして、違う魔法を詠唱する。
その詠唱が終わった頃、空から水が落ちてきて、黒ずくめたちを襲った。
ライを切り裂こうとしていた黒ずくめたちは、その衝撃をまともに受ける。
そして、ライの魔法はその瞬間に放たれた。
「スパーク・チェイン!」
再び現れた電撃の鎖が黒ずくめたちを襲う。
水を伝わり、電撃は全ての黒ずくめたちに襲い掛かる。
その黒ずくめたちは、声も無く倒れ伏した。
「で、捕虜を作ったところでどうなるんだ?」
コウが少し冷たい目で見る。
「何か聞き出せないかな、と思ったんだけど・・・洗脳されてたんだっけ。」
「洗脳ってはっきり決まったわけじゃあないぞ。」
ライの答えに、クルクが補足する。
因みに、捕虜となっている男はライによって後ろ手に縛られている。
もっとも、意識は戻ってないのだが。
「とりあえず、この村をちょっと調べてみない?」
提案したのはフィーナ。
「そうしようか。何か無い訳が無いだろうし。」
そのライの声で、4人は村の各地へと散っていった。
酒場と思しきところ。
ここにいるのはクルク。
「しっかし・・・この村の人たちは一体どうなったんだ・・・?」
などと言いながら、戸棚の裏や壁、床に至るまでを調べている。
「・・・無い、な・・・次行くか。」
そう言って立ち上がったとき、靴を鳴らす音が何かおかしいことにクルクは気付いた。
「・・・?何だ?」
どうやら、1部分の床の下は空洞になっているようだった。
クルクが床板を外すと、そこには階段があった。それと同時に、微かな人の声も聞こえる。
「・・・とりあえず、ライたちを呼んできた方がいいな・・・。」