シフリアを加えたライたち1行は、再び大広間の前までやって来ていた。
「・・・よし、開けるよ。」
ライの声に、無言で頷く4人。ライはドアを開け放した。
「・・・何かやってるな・・・」
クルクが言う。
先程も女性たちは何かに祈っていたが、それがさらに仰々しいものになっている。
「ねぇシフリア、これは何をやってるか解らない?」
フィーナがシフリアに問う。シフリアは首を横に振った。
そんな中で、同じく先程、女性達の中央にいた黒頭巾の男が声を上げた。
「エレメントよ!今ここへ姿を現せ!」
その叫びを、ライたちももちろん聞いている。
「・・・あいつ、『エレメントそのもの』の存在を知ってる!」
ライが言う。
その男は、さらに続けた。
「今ここへ姿を現せ!汝の糧も用意した!」
「糧・・・!?」
コウが中央を見る。
黒頭巾の横には、手枷をはめられた女性がいた。
「間違いない・・・あの人を生贄にするつもりだ!」
コウがそう叫んだ刹那、黒頭巾に射撃系の攻撃魔法が雨あられと降り注いだ。
黒頭巾は回避はしているものの、生贄の女性には逃げられている。
「あなた!今すぐここから・・・この街から立ち去りなさい!」
魔法の雨を降らせたのは、いつのまにかライたちの頭上のバルコニーにいた女性たち。
どうやら、彼女らは催眠にかかってないらしい。
「みんな!」
「シフリア、無事だった!?」
先程叫んだ女性らの代表格とシフリアが声を掛け合う。
「・・・ふっ、味なことを・・・。」
黒頭巾はそう呟くと、小声で魔法詠唱をはじめた。
フィーナが気付き、止めに入ったが、魔法は発動された。
「逃げて!」
「・・・フレイム・ショット。」
フィーナの叫びと同時に、黒頭巾の魔法は放たれた。
浮かび上がってきた炎のつぶては・・・50個はある。
「死ね。」
そしてそれは一斉に、急襲をかけた女性たちに向かった。
「ホワイト・ロザリオ!」「アクア・ウォール!」「アース・シールド!」
炎のつぶては、コウの光の十字架、フィーナの水の壁、
そしてシフリアの土の壁によって受け止められた。
「ちっ・・・催眠をかけながらではだめか・・・!」
黒頭巾はそう言い放つと、その頭巾を取り去った。
それと同時に、これまで周りで起きてることなど関係無しに祈りを捧げていた女性たちにも、変化が見えた。
「・・・みんな、目を覚ました!」
シフリアが言う。そう、女性たちは現状を理解できず、おろおろしている。
「みんなをお願い!私たちはこいつと・・・・・・!!」
バルコニー上の女性たちに投げかけられたシフリアの言葉は、そこで止まった。
しかし、内容は理解できたらしく、程無くして部屋にはライたちと黒頭巾を取った男のみとなった。
「・・・シフリア?」
ライが怪訝な顔をする。
少し間を置いて、男が話し始めた。
「こいつ・・・とは心外だな。実の父に向かって。」
全員の呼吸が、一瞬止まったような気がした。
「父さん・・・どうして?」
「シフリア。この父メガロと共に来るのだ。最高の力を手にいれられるぞ・・・。」
「私は力なんて欲しくない!ただ・・・平和に、家族3人で過ごしたいだけなのに・・・
・・・そうだ、母さん!母さんはどこにいるの!?」
シフリアが絶叫する。その目には光るものがあった。
メガロは少し考えたような素振りを見せ、こう言った。
「そこにいるだろう。」
シフリアが少し目線を下げると、そこには1人の女性が倒れていた。
その手につけられていたのは、手枷。
「母さん・・・。」
「どうして?ねぇ、どうして手枷なんかつけているの?」
「どうして、生贄なんかになったの?」
「どうして・・・父さんに殺されそうになったの?」
「父さん・・・どうして、母さんを殺そうとしたの?」
「シフリア、しっかりしろ!シフリア!」
ライの呼びかけにも、シフリアは全く耳を貸す様子は無い。呆然としている。
「ふん・・・そこのガキども、お前らはこいつらとでも遊んでろ・・・。」
メガロは指を鳴らした。すろと、近くの壁が崩れ落ちて、そこからスケルトンが現れた。
「・・・死霊使いか・・・!」
コウの声に鬼気迫るものが現れた。
「こんな奴の相手してる暇なんて!」
そう言い放ち、クルクはメガロのいる方向へ一直線に走った。
「お前らの相手は・・・こいつらだと言ったろう!」
そのメガロの声と同時に、クルクの目の前に数体の赤いスケルトンが現れた。
ブラッディボーン。全ての面に於いてスケルトンを上回る。
「・・・邪魔だ!フラッシュ・ミスト!」
コウが光の霧を放つ。
しかしそれは、あっという間に消滅してしまった。
「・・・言っておくが、この部屋ではその魔法は使えん。」
「くそっ!」
「とにかくしょうがない、一体ずつ撃破していこう!」
ライの声で、4人は散った。
「父さん・・・母さん・・・どうして・・・?」
未だに、シフリアの混乱は続いている。そんな中、彼女にかけられた声があった。
「いつまで悩んでいるつもりだ。」
それはメガロの声だった。
「悩む必要など無い。私についてくるのだ。」
「悩んでいるのも疲れただろう。」
「何も考えなくていい。私についてくるのだ。我が娘よ。」
「私についてこないというなら
・・・お前は死ななければならない。」