「え・・・?」
何?今、なんて言ったの?
私は・・・死ななきゃいけないの?
「・・・一応、これを最後の通告としておく。1分で答えを出せ。」
最後?
これに答えないと、私は死ぬの?
お父さんに、殺されるの?
・・・そんなのは、嫌。
でも・・・。
お父さんのしていることは、悪いこと。
許されないこと。
そんなのに従うのも・・・嫌。
・・・じゃあ、私はどうすればいいの?
首を縦に振って、お父さんの手伝いをするの?
それとも・・・首を横に振って、ここで死ぬの?
嫌・・・。
どっちも、嫌・・・。
でも、選ばなきゃいけない。
「時間だ。答えを聞こう。」
父さんの声がする。
・・・どうすれば・・・いいの・・・?
「・・・嫌・・・。」
私の口から、か細い声が聞こえた。
「そうか・・・残念だ。」
えっ・・・?
お父さんが、剣を構えた。
・・・私を、殺そうとしている。
・・・私・・・死ぬんだな・・・。
ドシュッ・・・
剣が、貫く音が聞こえた。
・・・?
変だな・・・。痛くない・・・?
それまで目を閉じていたシフリアが目を開き、見たものは・・・。
父メガロの剣に貫かれている、母リアの姿だった。
「―――!!母さん!」
力無く倒れこむリア。
メガロは、それを冷然と見つめている。
「・・・シフリア・・・無事ね。良かった・・・。」
リアはそれだけ言うと、目を伏せた。
「母さんっ!・・・良かった。気絶してるだけみたい・・・。」
安堵するシフリア。しかし、放っておけば危険な傷でもあった。
「・・・コウさん!お願い!リカバリーを!」
遠くでスケルトンと戦っているコウに、無理と解っていても声を張り上げるシフリア。
「・・・!ここは頼む!」
しかしコウは、何体ものスケルトンの隙間をかいくぐり、シフリアたちの元まで来た。
「・・・リカバリーじゃこの傷は直せない。今すぐは無理だ・・・せめて外に出れれば・・・。」
「行くんだ、コウ!ここは大丈夫だ!」
一度に2体のブラッディボーンと戦っているライが叫ぶ。
1体を剣で、1体を左手からのウォーター・ウィップで凌いでいる。
既に、かなりの時間戦闘している。疲労の色は明らかだ。
「コウ・・・早く・・・。」
ライの声が掠れていた。もう限界が近いようだ。
「・・・チッ!」
コウは舌打ちをすると、リアを担ぎ上げて外へ向かった。
スケルトンが行く手を阻むが、ライ、フィーナ、クルクの3人がそれをを砕く。
「・・・フン。無駄だ。あの女はそのうち息絶える。生贄などどうにでもなる。」
様子を見ていたメガロは、そう冷たく言い放った。
「父さん・・・!」
「何だ?我が娘よ。やはり私について・・・」
「違う!あなたは、父さんなんかじゃない!」
「・・・何?」
「父さんなら・・・父さんなら、母さんや私を殺そうとなんかしない!」
「・・・ふっ、はははは!夢見事を・・・!」
メガロはそう言い捨てると、再び手を掲げた。
すると、さらにスケルトンやブラッディボーンの数が増えた。
「また増えた!これじゃきりが無いよ!」
フィーナが叫ぶ。彼女の声も掠れてきていた。
そしてそのスケルトンは、シフリアの周りにも集まってきていた。
「スケルトンども、こいつらをお前ら死者の仲間にしろ。」
メガロがそう言い放った瞬間、いつ唱えていたのか、シフリアの魔法が詠唱された。
「メガ・グラヴィトン!」
シフリアの放った魔法は、重力魔法。それも、広範囲に効果のある。
それはライたちやメガロは膝を突き、立てなくなる程度だった。
しかし、スケルトン、ブラッディボーンは全て、砕けこそしないがバラバラになってしまった。
「父さん・・・いや、メガロ・・・。」
シフリアの声のみが響く。
「・・・覚悟しなさい。」
シフリアは、メガ・グラヴィトンを維持したまま、違う魔法の詠唱に入った。
そして飛ぶ、魔力の弾丸。メガロは避けることもできず、ほぼ全てを受けている。
「・・・シフリア!止めて!」
その時に響き渡った声は、リアの声だった。
「・・・母さん!?」
思わず、呪文の詠唱どころかメガ・グラヴィトンまで解いてしまうシフリア。
メガロは、既に気絶していた。もちろん、ライ、フィーナ、クルクの3人も。
「シフリア・・・。もう、止めなさい。この人は、街の人たちが罰するわ。」
「・・・でも・・・、・・・父さんは、母さんを・・・。」
涙声になっているシフリア。
「もうそんなことはいいの。コウさんのおかげで傷も治ったことだしね。」
俯いているシフリアに向かって、片目を閉じるリア。
「そうだわ。シフリア、旅に出たらどう?」
「旅・・・?」
きょとん、とした目でリアを見つめるシフリア。
「そうよ。あなたは見聞を広めるべきだわ。コウさんたちについて行かせてもらったらいいんじゃない?」
「でも、母さんを残すことに・・・。」
「あら、私は一人でも十分生活していけるわよ?ね、どう?」
「・・・勝手に話を勧めないで欲しい。」
と、歩いてきたのは、街の人たちの中で傷を負った人の治療に当っていたコウ。
「もっとも、ライたちは嫌がったりはしないだろうがな。」
と、コウはそれだけ言ってライたちを外へ運び始めた。
その言葉を聞いて、シフリアは旅立つ決意を固めたのだった。