第21話


「え・・・?」

何?今、なんて言ったの?








私は・・・死ななきゃいけないの?








「・・・一応、これを最後の通告としておく。1分で答えを出せ。」








最後?








これに答えないと、私は死ぬの?








お父さんに、殺されるの?








・・・そんなのは、嫌。








でも・・・。








お父さんのしていることは、悪いこと。








許されないこと。








そんなのに従うのも・・・嫌。








・・・じゃあ、私はどうすればいいの?








首を縦に振って、お父さんの手伝いをするの?








それとも・・・首を横に振って、ここで死ぬの?








嫌・・・。








どっちも、嫌・・・。








でも、選ばなきゃいけない。








「時間だ。答えを聞こう。」








父さんの声がする。








・・・どうすれば・・・いいの・・・?








「・・・嫌・・・。」








私の口から、か細い声が聞こえた。








「そうか・・・残念だ。」








えっ・・・?








お父さんが、剣を構えた。



・・・私を、殺そうとしている。




・・・私・・・死ぬんだな・・・。








ドシュッ・・・








剣が、貫く音が聞こえた。












・・・?



変だな・・・。痛くない・・・?




















それまで目を閉じていたシフリアが目を開き、見たものは・・・。



父メガロの剣に貫かれている、母リアの姿だった。

「―――!!母さん!」

力無く倒れこむリア。
メガロは、それを冷然と見つめている。

「・・・シフリア・・・無事ね。良かった・・・。」

リアはそれだけ言うと、目を伏せた。

「母さんっ!・・・良かった。気絶してるだけみたい・・・。」

安堵するシフリア。しかし、放っておけば危険な傷でもあった。

「・・・コウさん!お願い!リカバリーを!」

遠くでスケルトンと戦っているコウに、無理と解っていても声を張り上げるシフリア。

「・・・!ここは頼む!」

しかしコウは、何体ものスケルトンの隙間をかいくぐり、シフリアたちの元まで来た。

「・・・リカバリーじゃこの傷は直せない。今すぐは無理だ・・・せめて外に出れれば・・・。」
「行くんだ、コウ!ここは大丈夫だ!」

一度に2体のブラッディボーンと戦っているライが叫ぶ。
1体を剣で、1体を左手からのウォーター・ウィップで凌いでいる。
既に、かなりの時間戦闘している。疲労の色は明らかだ。

「コウ・・・早く・・・。」

ライの声が掠れていた。もう限界が近いようだ。

「・・・チッ!」

コウは舌打ちをすると、リアを担ぎ上げて外へ向かった。
スケルトンが行く手を阻むが、ライ、フィーナ、クルクの3人がそれをを砕く。

「・・・フン。無駄だ。あの女はそのうち息絶える。生贄などどうにでもなる。」

様子を見ていたメガロは、そう冷たく言い放った。

「父さん・・・!」
「何だ?我が娘よ。やはり私について・・・」




「違う!あなたは、父さんなんかじゃない!」



「・・・何?」

「父さんなら・・・父さんなら、母さんや私を殺そうとなんかしない!」
「・・・ふっ、はははは!夢見事を・・・!」

メガロはそう言い捨てると、再び手を掲げた。
すると、さらにスケルトンやブラッディボーンの数が増えた。

「また増えた!これじゃきりが無いよ!」

フィーナが叫ぶ。彼女の声も掠れてきていた。
そしてそのスケルトンは、シフリアの周りにも集まってきていた。

「スケルトンども、こいつらをお前ら死者の仲間にしろ。」

メガロがそう言い放った瞬間、いつ唱えていたのか、シフリアの魔法が詠唱された。

「メガ・グラヴィトン!」

シフリアの放った魔法は、重力魔法。それも、広範囲に効果のある。
それはライたちやメガロは膝を突き、立てなくなる程度だった。 しかし、スケルトン、ブラッディボーンは全て、砕けこそしないがバラバラになってしまった。

「父さん・・・いや、メガロ・・・。」

シフリアの声のみが響く。

「・・・覚悟しなさい。」

シフリアは、メガ・グラヴィトンを維持したまま、違う魔法の詠唱に入った。
そして飛ぶ、魔力の弾丸。メガロは避けることもできず、ほぼ全てを受けている。

「・・・シフリア!止めて!」

その時に響き渡った声は、リアの声だった。

「・・・母さん!?」

思わず、呪文の詠唱どころかメガ・グラヴィトンまで解いてしまうシフリア。
メガロは、既に気絶していた。もちろん、ライ、フィーナ、クルクの3人も。

「シフリア・・・。もう、止めなさい。この人は、街の人たちが罰するわ。」
「・・・でも・・・、・・・父さんは、母さんを・・・。」

涙声になっているシフリア。

「もうそんなことはいいの。コウさんのおかげで傷も治ったことだしね。」

俯いているシフリアに向かって、片目を閉じるリア。

「そうだわ。シフリア、旅に出たらどう?」
「旅・・・?」

きょとん、とした目でリアを見つめるシフリア。

「そうよ。あなたは見聞を広めるべきだわ。コウさんたちについて行かせてもらったらいいんじゃない?」
「でも、母さんを残すことに・・・。」
「あら、私は一人でも十分生活していけるわよ?ね、どう?」

「・・・勝手に話を勧めないで欲しい。」

と、歩いてきたのは、街の人たちの中で傷を負った人の治療に当っていたコウ。

「もっとも、ライたちは嫌がったりはしないだろうがな。」

と、コウはそれだけ言ってライたちを外へ運び始めた。
その言葉を聞いて、シフリアは旅立つ決意を固めたのだった。


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