第16話「決着、そして・・・」


「頼むわよ、ハーピィ!」

まずは、楓のハーピィが飛んでくる鳥たちを迎え撃つ。

「それだけで、俺の鳥たちを止められると思うのか?」
「止められるわよ。『ムーンライト・ダンサー』、宜しくね!」

楓は、幸喜も繰り出していたハーピィの踊り子を召喚する。

「さぁ、行くわよ!イニシアチブ!」

2つの部隊のぶつかり方は・・・同時。同時攻撃である。

「・・・・・・」
「へへっ、残念だったな。」

楓、少し落ち込む。当然、鳥たちの数も減らしたのだが、ハーピィは全滅している。

「よし鳥たち、散開しろ!召喚術師を狙っていけよ!」

その幸喜の言葉に、鳥たちは流駆たち4人に向かって急降下する。

「・・・へっへっへ。流駆、俺にエンデュランスってかけられるか?」
「何言ってんだ?モンスターの力を借りれば当然できるけど。」
「じゃ頼むわ。」

流駆は、不可解に思いながらもエンデュランスを炎にかけた。皮肉にも、ダイス目は6である。

「こりゃいいや!よし・・・。『力の調整』するぜ!」
「・・・そういう事かよ・・・。」

納得しつつ呆れる流駆を尻目に、炎はパワーグローブのスイッチを調節し始めた。
炎の能力は、1/3(黄金の盾のため)からエンデュランスで1/9に、そして力の調節で7/3となった。

「炎、あの鳥たち相手に先手取れると思うのか?」
「思ってねぇよ。だから、お前がどうにかして耐えてくれ。」

肝心なところは人任せの炎。

「やっぱり。じゃあ、もう1発『サンクチュアリ』。もう無いからな、このスペル。」

流駆は、モンスターのスペルワークを使ってスペルを放つ。
聖域が、鳥の攻撃を妨げた。

「よし、殴りに行くぜ!ファイア・ドラゴン、突撃!」

炎の号令で、ファイア・ドラゴンは鳥の群れへと突っ込んだ。

「行くぜ・・・・・・何だ、意識・・・が・・・。」
「炎?おい、しっかりしろよ!」

流駆の呼びかけも虚しく、炎は眠りこけてしまった。

「・・・ファイア・ドラゴン、どう思う?」
『本来はモンスターを眠らせる、『ヒュプノシス』。これしか考えられん。』

「仕方ないな・・・!太陽を睨む天使、太陽の槍!月に咲く天使、月光浴!」

流駆が必殺のコンボを放とうとしたとき、風に乗ってひらひらと『封印の札』が太陽の槍に貼り付こうとした。

「炎、『フラッシュ・デトネイター』・・・ダメだな。」

コンボ不成立。

「・・・。ならここは炎に習って、全員突撃!」

流駆は、半ばヤケになっていた。






一方、楓&麻耶は・・・。

「・・・そろそろ、矢も切れちゃいますよ!」

麻耶が悲鳴のような声を上げる。
自分で撃つ分のほかに、弓を持つモンスターたちの矢も使っているため、消耗は激しい。

「麻耶、焦らないで!こっちはどうにか押さえるから、そっちは頼むわ!」

そう言いながら、楓もライトニング・ボルトを放つ。
ハーピィを失ったものの、まだまだ楓の周りには飛行できるモンスターが多い。

「楓さん、気をつけてください!」

麻耶も負けじと、『ブレイズの矢』を放つ。相手パーティ全てに4点の火炎ダメージである。
























戦いは、結構過酷だった。
もう既に、残っているモンスターがファイア・ドラゴン、スカイ・ワイバーン、そしてカイト・ドラゴンの3体しかない。

「ヘっ・・・やるじゃねぇか。後は、俺を倒すだけだけど・・・。倒せるか?」
「その台詞・・・そっくり返してやるさ・・・。」

流駆たちも幸喜も、まだ戦意はある。

「じゃあ、決着つけるぞ!戦闘スペル、『ワールウィンド』!自分のイニシアチブと攻撃力を+3!」

幸喜は、加速のスペルを使って突撃する。しかし・・・。

「それなら、この太陽のロザリオで『反応陽光』。これでカイト・ドラゴンは3/3のままだ。どっちも倒せない・・・終わりだ。」

流駆が、静かに宣言する。ワールウィンドは、効力を失った。
ファイア・ドラゴンが突撃し、カイト・ドラゴンをカードに戻そうとする。当然幸喜は落下する。

「畜生・・・ただではやられるかっ!!」

その幸喜の叫びと共に、カイト・ドラゴンはカードに戻った。・・・ファイア・ドラゴンも。

「うわわっ!何でだ!?」
「死に際に、『ウィンド・カッター』を使ってやった!お前らも、落ちろ!」

とか言いつつ、幸喜はパラシュートを開いている。

「流駆!」「炎さん!」

楓が、スカイ・ワイバーンを急降下させる。だが、なんと追いつけない。

「くそっ!ここで死ぬのか俺たちは!」
「(・・・月のアミュレットのスペルワーク、回復してるな・・・よし。)」

流駆が、何かを決意した表情になってカードを一枚取り出した。

「流駆、その顔・・・死を覚悟したのか?だったら俺も・・・って死にたくねぇよ俺は!」
「解ったよ!お前、生き残れ!最後のスペルだ・・・『グラヴィトン』!」

流駆が落ちながらカードを翳すと、炎の身体がいきなり舞い上がった。
『グラヴィトン』は、飛行または長距離飛行ユニットを歩行に、歩行ユニットを飛行に変換するスペルである。いわば、重力反転。

「お、おわぁっ!」
「炎!」

ある程度の高さまで飛び上がった炎の身体を、スカイ・ワイバーンはどうにか受け止めた。

「炎さん、大丈夫ですか!?」
「お、俺はな・・・でも、流駆は!?」

炎が身を乗り出して下を見下ろす。すると、既に流駆の姿はかなり小さくなっていた。

「か、楓!早く着陸しろよ!」
「とっくにその体勢よ!」

などと言っている間にも、流駆の姿は見えなくなった。
























「・・・俺・・・生きてるよな・・・。」

落下した流駆は、偶然にも木に引っ掛かって、一命を取り留めていた。とはいえ、全身ズタズタである。

「こんなんで生きてるって・・・俺、実は強運の持ち主なのか?」

どちらかと言うと、「凶運」の持ち主かもしれない・・・。


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