第27話「炎vsグラッド」


「うっし、この扉だ!」

バンと、凄まじい音を立てながら炎は扉を開け放った。

「おっ、来たな!俺の相手が来たな!」

この部屋の主は、なぜか部屋の中央で筋トレをしていた。エキスパンダーを引っ張っている。
そして、その部屋は天井が高く、その一部が無かった。

「おう、来たぜ!召喚術師、服部 炎だ!で、お前は・・・誰だっけ?」

予想通り。

「はっはっは!俺か?俺の名はグラッド。グラッド=バーナスだ!」

不敵に高笑いしながら喋るグラッド。

「解った!じゃあグラッド、いっちょ勝負だ!」
「ヘっ、血の気の多い・・・。上等だ!やってやるぜ!俺の真の姿、見せてやる!」

グラッドが目を瞑る。すると、その全身から炎が溢れ出した・・・ように、炎は感じた。































『待たせたな!変身完了だぜ!』

そう言うグラッドの身体は、元々大きかった身長がその数倍に膨れ上がっている。
頭の半分は、天井を突き抜けていた。

「その姿は・・・『炎の魔人スルト』か!おもしれぇじゃねぇか!」

危機的状況下にあるにも関わらず、炎の顔には笑みがあった。

『血の気も多けりゃ、勢いもいい小僧だな!いいぜ、かかって来いよ!』

グラッドは、携えている剣を構えた。炎の魔剣、レーヴァテイン。

「よっしゃ、行くぜ!まずは力の調節!そんでもって、『ファナティシズム』!」

『ファナティシズム』は、ユニット一体に基本攻撃力に準じたチャージとディフェンダ―を与える、火のスペル。

「これで・・・殴り飛ばしてやらぁ!」

炎がおもいっきり拳を叩きつける。だが、グラッドは動じない。

『効かんぜ、炎!それで仕留められないと、お前が死ぬぞ!』

言いながら、グラッドは魔剣を一閃させた。その軌道に、炎は入っていない。

「うわっち!熱っち、熱っち!」

魔剣から巻き起こった炎が、炎を掠めていった。

『ハッハ―!炎、さっきの威勢はどうした!?』
「なぁに!炎は俺の十八番なんだよ!名前になってる位だからな!」

と炎は言っているが、実はスペルが尽きた状況なのでもう戦う手段が無いのだ。

『言うじゃねぇか!だったらこれ、どうにかしてみろよ!『フレイム・ストライク』!』

灼熱の槍が炎を襲う。あらゆる物を焼き尽くす、灼熱の一撃が。

「マジかよ!だったら・・・ていっ!」

とっさに持っていた黄金の楯を投げつける炎。それで、どうにかフレイム・ストライクを食い止めた。

『機転も効くじゃねぇか。だが、お前の炎をまだ見せてもらってないな?見てぇもんだな?』
「へっ!だったら、準備してやるよ!」

偉そうに言いつつ後ろを向く炎。装備品を交換しているようだ。

『あんまり待たせんなよ!』




























「待たせたな!じゃあ行くぜ!」

炎はグラッドに向き直ると、再度突進を始めた。

『変わったってのか!?今度は・・・当てるぜっ!』

グラッドもまた、レーヴァテインを振り下ろす。大きな炎が起こり、炎を巻き込む。

『どうした?炎に巻かれて終わりか?』

炎の姿が炎の中に消えたのを見て、不敵に笑うグラッド。だが、炎はすぐに飛び出してきた。

「終わるかよ!」
『何だと!?・・・そうか、『ヴァガンテの耳飾り』・・・!』

火スペルワーク2つと、火炎・電撃耐性を与える耳飾りだ。炎の両耳には、それがついていた。

「見せてやるぜ!ど派手な、大爆発を!」

そう叫びながら炎が懐から取り出したのは、『イグナ爆裂筒』。敵味方見境無く、火炎1Dダメージを与える発破。

『・・・面白ぇ。面白いぜ、炎!やってみろ!』

グラッドの言葉と同時に、爆裂筒は弾けた。凄まじい爆発、そして火柱が巻き起こる。だが、グラッドは倒れない。

『・・・足りねぇな。まだ、俺は倒せないんじゃねぇのか!?』
「倒すんじゃねぇ!焼き払うんだよ!」

炎が爆発にまぎれて、いつの間にかグラッドの懐まで走ってきていた。

「これで決めてやる!」
『突っ込んで来るか!遠慮なく迎撃するぜ!』

炎はカードを、グラッドは手をそれぞれ相手に翳した所で、両者がぴたりと止まった。

『・・・なぁ、炎。』
「何だ?」
『お前、何のスペル使おうとした?』

炎は、突然の言葉に首を傾げる。

「そう言うグラッドは、何を使おうとしたんだよ?」
『俺か?俺は・・・そうだ。お前も同時に言え。それでスペルが一致したら笑いものだぞ?』
「そうだな。言うぜ・・・せーの!」




『バーン・アウト!』




2人の声は、見事に唱和した。その直後に、これまた2人の笑い声が響く。

「・・・ハッハッハッ!まさか、本当に同じスペルを使おうとしてたなんてな!」
『ハッハ・・・いや、全くだ!いや、最高だぜお前!』

高笑いしながら、グラッドは元の姿へと戻った。

「お、おい、まだ決着ついてないだろ!?」
『気分良くなったからな!お前のこと、スゲェ気に入ったし!』

笑いながらグラッドは、ドアから出て行った。炎は、その後姿をただ呆然と見詰めている。

「どうせなら、最後まで決着つけたかったけどな・・・!」


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