第6話「再挑戦」


「あー、やっと終わったー。」

と言いつつ、のびをする流駆。
ちょうど授業が終了し、ホームルームも終了したのだ。

「・・・?炎、どうした?」

なにやら意気消沈している友人に声を掛ける。
その少年・・・炎は、溜息をつきながら流駆の方へ向き直った。

「・・・。」

応えない。どうやら先ほどのテストがよほどショックだったようだ。

「流駆、ほっときましょ。どうせちょっとすれば立ち直るんだから。」
「・・・ま、それもそうか。」

そう流駆に言ってきたのは、もちろん楓だ。
流駆も、心配することじゃないと判断し、炎を残して楓と2人で帰路についた。

・・・意外と冷たい。




















「おい、そこのお2人さん。」

帰っている最中、背後からの声に振り替える流駆と楓。

「・・・俺を忘れたとは言わせないぜ!」
「あんた、誰?」

背後からの声の主の男に、身も蓋も無い返事をする流駆。

「あなた、確か・・・槌田とか言ってたわね。」

楓の方は覚えていたようだ。
そう、以前炎にモンコレ勝負を挑み、敗北した槌田一樹だった。

「何だ、今日はあのガキはいないのか?」
「あ、そういえば炎のこと置いてきたな。」

気付かないはずは無いのだが。

「まあいい、今日はリベンジに来たんだよ。というわけで勝負しろ!」

ビシッと指を突きつける一樹。

「・・・ねえ流駆、任せていい?私今日、デック家に置いて来ちゃったから。」
「あ、そ。じゃあ俺がやるかな・・・。」

なんだかやる気無さそうな流駆であった。













「じゃあ俺のターンからいくぞ。まずは・・・『太陽を睨む天使』。それと『エルフ森林警備隊』。」

数人のエルフと、もはや見慣れた筋骨隆々とした天使が現れる。

「俺のターンだな。では・・・『鋼の門』を配置。それと『ダークエルフ髑髏騎兵隊』を召喚、『ガルガリンの指輪』を装備。ターン終了だ。」
「・・・?」

怪訝な顔をする流駆。
『鋼の門』と『ガルガリンの指輪』は、相性としては非常に悪い。

「とにかく俺のターンになったな・・・『妖精の輪』を配置して、『太陽を睨む天使』、『エルフ森林警備隊』を進軍、本陣に『エルフ魔道防衛隊』を召喚だ。」

それを見た一樹は、流駆に見えないようにニヤリと笑った。

「ようし、いくぞ・・・『ダークエルフ髑髏騎兵隊』を進軍させて・・・
召喚!召喚!召喚!召喚〜!!」
「・・・は?」

一樹は鋼の門にダークエルフを進軍させ、ガルガリンの指輪の力『車輪の律』で魔属性のユニットを立て続けに召喚した。
・・・しかし、本来ならば不可能なはずなのだが。

「ど、どういうことだよ!『鋼の門』にはユニットは1体しか入らないはずだぜ!」

そう。本来の『鋼の門』はリミットは99なのだが、ユニットは1体しか存在できず、進軍できない地形なのだ。

「そりゃ普通の鋼の門の話だ。俺のは違うんだよ!」

一樹はそう言い放つと、高笑いを始めた。
流駆はそれを見つつ、自分のターンに入った。

「(どっちにしても地形なんだからあのカードが引ければ・・・とりあえず、ここはモンスターを増やして耐えしのごう。)」

そう考えつつ、流駆はエルフ魔道防衛隊も妖精の輪に進ませ、本陣に『ゴブリン呪術強盗団』を召喚し、ターン終了した。

「よし、ドロー・・・何だ、入れておいた残りの鋼の門が一度に来ちまった。
・・・まあいいや。よし、進軍だ!」

流駆の配置した『妖精の輪』に、一樹のモンスター『ディスターヴ・ウィング』が進軍してきた。
レベル7の6/5、消耗品の使用を封じるモンスターだ。

イニシアチブ結果は・・・流駆が5、一樹が2だった。

「よし、助かった・・・『太陽の槍』!」

太陽を睨む天使の持つ槍が深々とディスターヴ・ウィングを貫き、カードに戻した。

「チッ・・・まあ、まだまだモンスターはいるがな・・・。」

そう言いつつ、一樹は先程引いた鋼の門を捨て、新たにカードをドローした。
捨てられたカードを楓が拾い、文面を見てみる。

「・・・この地形にはユニットは1体しか存在できず、1体しか進軍できない・・・。」

と、本来ならここまでが鋼の門の内容である。しかし、このカードの文面には続きがあった。

「・・・ただし、この地形を配置したプレイヤーはこの条件を無視できる・・・って、何よこれ・・・!?」

楓は自分の目を疑った。このような都合のいいカードは存在するはずが無い。

「何って言われたってこの文面そのままだよ!さあ、いくぞ!」

流駆のターンが終了し、再び一樹のターンが始まった。



























「あーもう何でこんな時に限ってカードの引きが悪いんだ!?」

流駆がぼやく。
一樹の攻撃が止むことは無かった。しかし、幸運にも全てのイニシアチブで先手を取り、『太陽の槍』で一掃している。
だが、鋼の門のモンスターは増える一方。いつしか、一樹の山札と手札はなくなっていた。

「流駆とか言ったか!お前のターンだぞ!」
「わかってる!」

山札からカードをドローする流駆。

「やっと来た!」

どうやら、目的のカードを引いたらしい。

「いくぞ・・・『吹き抜ける風』!」
「な、何!?」

流駆の放った地形カードは、元々あった地形と強制的に入れ替えて配置するものだ。
そしてリミットは『8』。鋼の門に立てこもっていた一樹のモンスターは、ほとんどがリミットオーバーでカードに戻ってしまった。

「よし、『太陽を睨む天使』と『エルフ森林警備隊』で進軍、『モノケロス』を即時召喚!」

流駆は2体のモンスターに進軍を命じ、応援に金色の毛皮に包まれた獣を召喚した。
2レベルの2/1、『聖』のスペルワークを2つ持っている。

「ち、ちっくしょう・・・!来やがれ!」

振られたイニシアチブの目は・・・流駆が6、一樹が1。
『太陽の槍』が炸裂した。

「ふう。後は本陣だけ・・・って、『髑髏の騎士』に『髑髏の魔術師』!?」

これまで、流駆は鋼の門に気を取られていて、あまり一樹の本陣を見なかった。
一樹は、いつのまにか本陣にもモンスターを召喚していたのだ。

「ふっ・・・さぁ、どう攻める?」

一樹の言葉が、流駆に重くのしかかる。
『髑髏の騎士』の持つ特殊能力『闇の波動』は、聖属性のモンスター1体をゲームから除外してしまう強力な特殊能力だ。
しかも、『太陽の槍』と違い、相手に先手を取られても使うことができる。

考えている流駆だが、だんだん考えるのが嫌になってきたようだ。

「あーっ、もう!面倒臭い!進軍してやる!」

流駆は、先程の3体で一樹の本陣への進軍を試みた。
イニシアチブのダイスが振られた。流駆は4、一樹は6だ。

「残念だったな。まぁ先手をとっても同じだが・・・『闇の波動』!」

髑髏の騎士から、黒い衝撃波が現れる。

「させるか!『封印の札』!」

流駆がエルフのアイテムワークを使い、1枚の札を投げつけた。
特殊能力1つを封じ、無効にするアイテムだ。黒い衝撃波は、その札により消えてなくなった。

「ちっ、攻撃!」
「『エンデュランス』!」

髑髏の魔術師の攻撃に対抗し、防御力1D上昇のスペルを放つ流駆。
エルフたちが壁になっているために、1がでない限りは太陽を睨む天使を倒すには至らなくなり、『太陽の槍』が放たれるのだが・・・。

「げっ・・・(汗)」

そう。流駆の出目は1だった。その結果、流駆に残されたモンスターはモノケロス1体となってしまった。

「さあお前の攻撃・・・だが、するまでも無いか?」

再び、一樹が宣告する。

「何か、何か・・・あ。これだ・・・!」

流駆は1枚のカードを手札から引き抜き、それを放った。
すると、空から日の光が降り注ぎ、一樹のモンスター2体をカードに戻した。

「な・・・何だ!?」

うろたえる一樹に対し、流駆がゆっくりとカードを突き出し、その文面を読み始めた。

「『サンシャイン』。全てのユニットに効果。対象のユニットが属性『魔』で行動完了である場合、破棄する。」

そう、流駆が放ったカードはそれだった。

「流駆の勝ちね。・・・さて、ちょっと聞きたいことがあるんだけど・・・いい?」

沈黙を保っていた楓が口を開き、一樹に声をかけた。


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