TOE小説
「セイファート高校」第15話
〜生徒会への勧誘〜




ある日のこと。
昼休み、リッドたちが教室で歓談をしていると、教室のドアがいきなり開いた。


「昼休み中すまない。少し私の話を聞いてくれ。」


現れたのは、マローネ会長である。いきなりの生徒会長の登場に、クラスの生徒たちは動揺する。


「フン。早くしろ、時間の無駄だ。」


と、リオン。転校してからこんな調子なので、友人は勿論いない。


「ならば要点だけを話すぞ。
この生徒会では毎年各クラスから2名ずつ、生徒会役員を選出することになっているから、我こそはという生徒は名乗り出ろ。」


生徒たちに、複雑な表情が浮かぶ。明らかに面倒臭がっている者、少し興味を持つ者、やる気がある者・・・。


「今すぐに結論とは言わん。放課後のHRにまた来るから、それまでに考えておけ。」


そう言うと、マローネは教室から出て行った。


「・・・生徒会役員、ねぇ・・・。」


リッドが、興味無さそうに呟く。


「キール、お前やればいいんじゃねぇか?博識のお前ならこなせるだろ?」
「お断りだね。この学校のことを知るにはいいかもしれないが、それはこれからどうにでもなる。自分の勉強に使った方がよっぽど利になる。」


どうやら、キールにやる気は全くないようである。


「じゃ、ファラはどうか?」
「メルディ、ファラには進めんなよ。」
「何でよリッド?」


リッドの言葉に、少し乗り気だったファラが口を尖らせる。


「ファラが生徒会に入ると、学校をよくするためとか言って色々あるに決まってんだよ。」
「何よ、当たり前じゃない!みんなのためを思ってなんだから!」


口喧嘩が始まってしまった。


「例えば私が生徒会役員になったら・・・絶対、生徒全員に好き嫌いをなくさせてやるんだから!」
「・・・後生だから、そういうことはやめてくれ、ファラ・・・。」


キールが、暗い声で言う。何かトラウマがあるようだ。


「キールにだって、小さい頃に魚を食べさせてあげたじゃない。それ以降、魚好きになったでしょ?」
「・・・かえって、嫌いになった・・・。」
「解ったか?お前のは親切じゃなくて、ただのおせっかいっていうんだよ。」


キールの暗さに磨きが掛かり、リッドは皮肉たっぷりに言う。ファラは、そっぽを向いてしまった。


「なぁ、結局生徒会はどうするのか?」


メルディのその問いに答える者はいなかった。





















そして、放課後のHR。
再度、マローネ会長が1−2の教室にやってきている。


「・・・どうだ、生徒会に入る気になった者はいるか?」


クラスを見渡すも、名乗り出る人物はいない。ファラは、リッドとキールの(命懸けの)説得により渋々生徒会を断念した。
推薦もいないか・・・と思われた、そのときだった。


「はい!私やります!」


そう高らかに宣言して立ち上がったのは、転校して間もないリリスであった。


「リリスが!?」
「大丈夫かしら・・・。」
「でも、どうせ誰もやらないよりはな・・・。」


クラスの反応は千差万別である。


「そうか。それなら・・・お前、名は?」
「リリス・エルロンです!」


更に高らかに言う。
マローネはその名前をはっきりと名簿に書きとめ、更に顔を上げた。


「もう一人・・・。出来れば、男子がいい。誰かいないか?」


男子生徒たちを見渡すマローネだが、誰も反応しない。


「・・・いないか、残念だ。では、こちらで指名させてもらおう。」


その言葉は、男子生徒たちの反感を買った。だが、表立って批判しようにも相手はマローネ会長である。


「言っておくが、誰が選ばれようとも文句は言わせんぞ。意義があるなら私を倒してみろ。」


つまり、文句があるなら力ずくで来い、ということである。


「・・・さて、誰がいいか・・・。出来れば文武両道の生徒がいいのだが・・・。」


しばらく名簿を眺めるマローネだったが、どうやら決まったらしい。


「よし、決めた。・・・リオン・マグナス。お前だ。」
「・・・何だと?」


リオンが訝しげな表情をする。
クラスでは、「こいつで大丈夫か?」という声が挙がる。


「僕はそんなくだらないことをやるつもりはない。」


やはり、リオンは否定する。


「何で?指名されたならやればいいじゃない。」


と、ファラが言い始めた。


「あーあ、始まっちまった・・・。」
「これは止まらないな・・・。」


リッド、キールが嘆く。


「リリスさんだって、転校して間もないのにやろうとしてるんだから、やりなよ。」
「僕には関係ない。」
「関係ないですって?あなた、この学校の一員になったという自覚はないわけ!?」
「そ・・・そんなにごねるのなら、貴様がやればいいだろう!」


もうちょっと押せばリオンは負けそうな状況だが、ここでマローネが声をかける。


「2人共、いい加減にしろ!・・・リオン、やりたくないなら私を倒せといったはずだが?」


不敵に笑うマローネ。だが、リオンもまた不敵に笑った。


「・・・いいだろう。勝負だ。」
「よし、ならばこれから体育館へ行くぞ。お前達、見届け人としてついて来い。」


かくして、1−2の面々は体育館へと出向いた。





















緊迫した空気。動かない2人。


「動かないな・・・どう思うか?リッド。」
「マローネ会長の強さは俺も知ってる。だけど、この状況からしてリオンも相当なものだろう。」
「どっちが勝つと思うか?」
「・・・さぁ・・・。俺は、さっさと帰りたいけどな。」


何故かある実況席にメルディが、そしてまた何故かある解説席にリッドが座っている。


「誰か、合図しろ。それで始める。」


マローネが叫ぶが、圧倒されているのか誰も動けない。


「・・・しょうがないわね。私が合図をするわ。」


と言って前に出てきたのは、観客に徹するつもりだったらしいセルシウス。
掌に、小さな氷の粒を作り出している。


「これを落とすわ。それを合図にするから。」


その言葉に頷くマローネとリオン。セルシウスは一呼吸置いてから、氷の粒を床に落とした。


・・・床に、粒が触れた刹那。


「虎牙破斬!」


まず、リオンが動いた。上下からの斬撃がマローネを襲う。


「魔神剣・双牙!」


マローネは、剣圧による衝撃波で迎撃する。
魔神剣は避けたリオンだったが、その後の真空の刃を喰らって床に落ちた。


「ちっ・・・。ならば!空襲剣!」


今度は、剣を構えて身を低くして突進して来た。しかしマローネは慌てない。


「リオンがどんどん攻撃を仕掛けるな!マローネセンパイは大丈夫なのか?」
「いや、リオンは気ばかりが焦ってるように見える・・・。まだまだ解らねぇな。」


のんきに実況・解説するメルディとリッド。
クラスの面々は、どちらともない応援をしている。隅っこでは、賭け事まで始まっていた。

まぁ、その方向にファラが向かったから心配はないだろう。


「どうした、その程度か?」


リオンの突進を軽く横に避けるマローネ。


「甘いっ!」


突進を交わされるや否や、リオンはマローネの方へと飛び上がり、抉るようにして斬りつけてきた。


「ほぅ・・・それなら、閃空裂破!」


マローネの手から巻き上がった闘気がリオンを直撃する。


「くっ、おのれ!」


たまらず後ろへ数歩引くリオン。


「リオン。大人しく生徒会へ入るならば引き分けで終わりにしてやるが・・・どうする?」


マローネが勝利宣言とも取れる言葉を吐いた。
しかしリオンは立ち上がり、鋭い視線を彼女に向ける。


「僕を甘く見るな!次の一撃で決着をつけてやる!」


そう叫ぶや否や、リオンは剣に闘気を集中し始めた。黒い、闇属性の気を。


「リオンの言うことは間違いない。次で決着がつくな。」


いつまで解説をやるつもりだ、リッド。
マローネはリオンの様子を見て、一つ溜息をついた。


「・・・子供だな。」
「子ども扱いをするな!喰らえ、魔人闇(マリアン)!」


黒い気を纏った剣を突き出し、突進するリオン。凄まじいエネルギーを発している。


「・・・風刃縛封。」


マローネが剣を振り上げると、突然リオンの体が宙へと舞い上がった。


「なっ・・・何をした!」
「・・・風塵・・・封縛殺っ!」


マローネが剣を振り下ろした瞬間、四方八方から、風の刃がリオンを切り裂いていった。


「ぐ・・・うっ・・・!」
「私の勝ちだ。約束どおり、生徒会へと入ってもらうぞ。」


マローネはそう言うと、騒いでいる1−2の面々をほっぽらかして去っていった。


「お、おい、リオン!大丈夫か!?」
「やっぱりマローネ会長、強えぇ・・・。」
「リオン君、君もよくやったよ。」
「ねぇ・・・マリアンって、誰?」


倒れているリオンの周りに人が集まる。しかしリオンはもう気絶していた。
この後リオンは、いつものようにファラに引きずられて保健室送りとなった。


「・・・「文」がなくて助かったぜ・・・(汗)」
「僕も「武」がなくてよかった・・・(汗)」


リッドとキールは、そんなことを話していたとか。




遅れた割にイマイチですね・・・。



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