TOE小説
「セイファート高校」 第17話
〜避難訓練〜
「今年はどうします・・・。」
「昨年のように、誰か代表として暴れればよいのでは・・・?」
ここは会議室。
なにやら教師達が集まって、怪しい話をしている。
「去年は確か・・・ロエンが暴れましたよね。」
「あいつは駄目です。あいつが暴れても誰も危惧感を持ちません。」
教師にまで馬鹿にされる始末のロエン。
「では今年は・・・こんな作戦でいきますか?」
「ほぉ・・・なるほど。では担任の先生方、さりげなく仕組んでやってください・・・。」
「解りました。」
「お任せください。」
一体どんな話だったのやら。
数日後。
教師達の陰謀など露ほども知らないリッド達は、いつも通りに授業を受けていた。
「・・・。」
「せ、先生、やめっ・・・!」
寝ていた誰かがアイシクルフォールを喰らったらしい。リッドだろうか。
「アイスニードル。」
また居眠りしていた生徒が一人、氷の刃を受けて声も無く凍結した。
「・・・こ、怖い・・・。」
ボソッと喋るのはキール。幸いにも、その言葉はセルシウスには届いていない。
「どうも最近、居眠りの生徒が多いわね。それだけ授業が遅れるんだからね?・・・じゃ、この問題やっといて。私はちょっと。」
セルシウスは黒板に問題を数問書くと、教室を出て行った。
「どうしたんだろ?」
「大方、トイレにでも行ったんだろう。」
ファラの呟きに、さらりと応えるキール。
「それもそっか。じゃリッド・・・リッド?」
ファラがリッドの方を見ると、そこには凍えている赤髪の少年がいた。
やっぱりアイシクルフォールを喰らったのはリッドだったようだ。
「・・・愚かな奴。」
遥か遠くの席からその様子を見ていたリオンがぼそりと呟くが、誰も気付かなかった。
「・・・遅いな。」
セルシウスが教室を出て行ってから10分が経過している。
その時間の掛かり様にキールは首を傾げる。
「キール、ひょっとしたらもう授業終わったのか?」
いつの間にかキールの近くに移動してきたメルディが訊ねる。
「メルディ!?いつの間に・・・。」
「たった今動いてきたですよ。気付かなかったですか?」
「わっ!・・・コリーナか。」
メルディとは反対の方向に、いつの間にかコリーナも移動してきていた。
「・・・ねぇキール、メルディの言う通りもう授業時間過ぎちゃったんだけど・・・。」
ファラが、時計を指差しながらキールに話し掛ける。授業時間は、とうに終わっていた。
「そうか?それなら、一休みしよう・・・。リッドを溶かしてからな。」
キールが席を立ち、リッドの方へ向き直ったとき。
ジリリリリリリリリリリ・・・・・・・・・。
「な、何だ!?」
唐突に鳴り始めた警報機の音に、クラス中・・・いや、ある一部を除いた全生徒がパニックとなった。
『全生徒に連絡します。これから避難訓練を行います。至急グラウンドまで避難してください。』
という連絡が入ったかと思うと、クラスから安堵の声が漏れた。
「何だ、ただの訓練か・・・。」
と、誰かが呟いた直後。
『尚、これは訓練とは言っても、甘く見ていると本当に命を落とします。校内には、トラップが仕掛けてあります。
避難の際に必要なのは校内の構造を覚えているかの記憶力と、危険を回避するための判断力です。』
生徒たち、セルシウスがいるわけでもないのに凍りつく。
『では、健闘を祈ります。避難開始!・・・あ、3分後には廊下の一部が塞がれますから。』
校内放送はそこで切れた。
2学年、3学年は昨年もやったのか動きがスムース。だが、初体験の1学年は。
「お、おい、トラップってなんだよ!?」
「は、早く脱出しないと・・・何よ、3分後に廊下の一部が塞がるって!」
「つーか、グランドってどうやって行けばいいんだ!?」
混乱の極みである。
そんな中、ひたすらに状況を整理する人物がいた。キールである。
「キール、どうしたの?」
「いや・・・どうすれば無事脱出できるか考えてるんだが・・・。」
「あのー・・・。」
キールとファラが話しているところに、別の生徒が話し掛けてきた。
ファラが振り向くと、そこにはリリスがいた。
「リリスさん?どうかしたの?」
「メルディさんとコリーナさん、もう先に行っちゃったよ?」
「・・・何だってぇ!?」
慌てて辺りを見渡すキールだったが、リリスの言う通り既にあの2人の姿は無かった。
「大変!キール、考えてる場合じゃないよ!」
「そうだな・・・。よし、あまり時間も無いからもう行こう!」
「あ、私も一緒に行くわ。少しは役に立つ自信があるし。」
と、ファラ、キール、リリスが教室の外に出たところで、キールが何かを思い出したかのように教室へと戻った。
「キール!?」
「ちょっと待っててくれ!リッドを溶かしてくる!」
程無くして、ファイアボールの爆音が教室から響いた。
黒い煙とともに、全身に火傷を負っているリッドがキールに連れて来られた。
「おい、何なんだよいったい!」
「話は後だ!とにかくグランドまで・・・!」
事情をよく解っていないリッドを含めた4人は、とにかく玄関へと向かって走り始めた。
明らかに犠牲者が出そうな雰囲気ですよね・・・(死)
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