TOE小説
「セイファート高校」第20話
〜ようやく避難?〜
行く手を阻む非常扉を打ち砕きながら進むリッドたち。
「みんな、もうすぐだ。もうすぐグランドに着ける。」
と、先を走るクレスが後続に向かって言った時だった。
「全校の生徒に連絡します。これより、天井の一部を崩しますので、下敷きにならないようにしてください。」
クレス、ミントを除く一同、状況の把握に数秒。
「・・・みんな、散って!」
「皆さん、危ないですよ!」
クレスとミントがそう叫んだ直後、天井が音を立てて崩れ落ちてきた。
「えっ!何で天井が!」
「気をつけてよ、お兄ちゃん!」
「リリス!お前も気をつけろ!」
「り、リッド、上手く避けろ!僕に当てるなよ!」
「んなこたぁ分かってる!不安なら降りろ!」
その他の5人は、バラバラに飛び散った。
そしてその直後に、5人の中心部分だった地点に天井が落ちてきた。
「・・・うひゃ〜。危ねぇ危ねぇ。」
額の汗をぬぐうリッド。
避けてはいたが、近場にいるのは背中のキールのみ。
「・・・みんな、僕たちは先に行かせてもらうよ!」
「この廊下を抜けてすぐがグランドです!可能なら、生きて会いましょう!」
意外と薄情だったクレスと、微妙に怖い台詞を残すミント。後には、足音のみが響いた。
「あっ!クレスさんずるい!」
「リリスさん、それよりも今はこれを破壊しよう!リッドやキール、それにスタンさんもいい!?」
必要以上に大声のファラ。
「大声出さなくても聞こえてるっつーの・・・解ってるよ!」
「ぼ、僕もやるのか!?・・・やらなきゃ駄目、だよなぁ・・・。」
「よっし、一斉にいこうぜ!」
5人が、落下してきた天井をそれぞれ違う角度から狙う。
「行くよっ!鷹爪落爆襲!」
「こんなに暴れられるのも久しぶり!雷神十連撃!」
「そんなに暴れないでくれよ、リリス・・・。鳳凰天駆!」
「今度は、この晶霊術でどうだ!レイ!」
「ったく、面倒臭いったらありゃしないぜ・・・。真空裂斬!」
凄い状況だ・・・(笑)
「よし!砕け・・・うわあっ!?」
5人の同時攻撃により、元天井の瓦礫は、あっけなく崩れた。
と同時に、キール以外の突撃系の技を出している4人が思いっきり派手な音を立てて衝突した。
『・・・いったぁ・・・。』
「・・・だ、大丈夫か?」
悶絶する4人を前に、おろおろするキール。この程度でどうという訳でもないことを知っているろうに。
「・・・貴方達、まだ避難してなかったの?」
唐突に後ろから掛かる声。キールが振り向くと、セルシウスがいた。
「先生!今までどこに行ってたんだ!?」
「グランドよ。生徒たちの避難する光景を教師陣で見学してたの。」
セルシウスのかなり適当な言い方に、キールは怒りを通り越して呆れてしまった。
「・・・はぁ。それで、グランドはもうすぐなんですね?」
「そうね。まだ全体の3割程度しか避難が完了していないけど・・・。」
「解りました。よし、みんな、先を急ぐぞ!」
キールは、どうにか回復し始めている4人に声をかける。
「急に元気になるなっつーの・・・あ、そうだ。セルシウス先生?」
「何?」
「避難した生徒の中に、メルディとコリーナを見なかったか?」
リッドが言うと、ファラ、キール、リリスの3人はあ、という顔つきになった。忘れていたに違いない。
「いたわよ。避難できた全体の中でもトップで到着していたみたいね。」
「ここか!?グランドって!」
先頭を走ったスタンが駆け込んだ先は、相当な広さを持つグランドであった。
どの程度広いかと言えば、ある程度の規模の陸上競技場に匹敵する程度の。
「ちょっと待って、こんな広いグランド、外から見た限りは無かったよ!?」
うろたえるファラ。玄関からの外観には、確かにグランドは見つからなかった。
「それはですね、教頭先生によるちょっとした次元の歪みがそこの入り口にあるからなんですよ。」
答えたのは、横からしたミントの声だった。
「そういうこと。ここはセイファート高校から・・・そうだな、大体5カランゲ程の所かな?」
その隣にいたクレスが後をまとめる。因みに、1カランゲ=333.333・・・m。5カランゲは、大体1.67kmとなる。
「だ、だがオルバース界面上だろう?たとえ5カランゲ先だとしても見えるはずじゃないのか?」
「ああ、それはレム先生による光の屈折を利用した仕掛けのせいだね。絶対見えないよ。上手く見つけても、正面から入ろうとすればプリズムソードが落ちてくるから。」
驚きと恐れで動けないキール。クレスもクレスでよく知ってるな。
「あ、みんな来てますよ!」
「ワイール!リッドたち無事だったか!」
話していると、メルディとコリーナが寄って来た。
「メルディ、コリーナ!2人とも、よく無事だったな・・・。」
リッドが、安堵の溜息を漏らす。
その横では、ファラが怪訝な顔をしていた。
「ファラ・・・どうかしたか?」
「あ・・・聞いてもいいかな?どうやって2人はここまでの道を知ったの?」
ごもっともな質問である。
「それがですね・・・。」
時間を、放送があった直後に戻す。
「思わず飛び出ちゃったけど、グランドってどこか?」
「もちろん私は知らないですよ?」
「・・・じゃあ、てきとうに走ろな!」
「はいです!」
適当に走り出す2人。だが、セイファート高校はそんなに甘くは無い。
「コリーナ!あの扉怪しいな!」
「行ってみるです・・・ちょっと待ってください、人影があるですよ!」
その扉に恐る恐る近づくと、その人影は2人のほうに振り向いた。
「・・・何だ、お前達か。初体験にしてはかなり早いな?」
「バイバ・・・!マローネセンパイだったか!」
そう、その人影はマローネそのものであった。
「・・・せっかくだ。2人とも、ここから先がグランドだ・・・一番に出ろ。」
意外と甘かったな、セイファート高校。
「い、いいんですか!?」
「私は二年から既に会長を始めているんだが・・・一年生でこんな短時間で来た奴は初めてだからな。たまにはいいだろう。」
「ワイール!ありがとな、センパイ!」
こうして、メルディ、コリーナ、マローネの順で脱出1位、2位、3位が決定した。
因みにこの頃、リオンがデモンズランスで壁を破ろうとしている時である・・・。
「・・・まぁ、そういうことだ。」
「うわぁっ!会長、いつの間に!?」
コリーナが話し終わる頃、いつの間にかリッドの横にマローネがいた。
「お前たちはなかなか面白い。気に入ったぞ。」
そう言い残して、マロ−ネは去っていった。
「・・・はぁぁ・・・。なんか、どっと疲れたな・・・。」
リッドが大の字になって倒れる。これでようやく彼らの避難は完了した。
因みに、その他の面々はと言うと・・・。
「なんだよ、こっちじゃなかったのか?」
「あれぇ?おっかしいなぁ・・・。こっちだったと思ったんだけど。」
経験者であるにも関わらず、道に迷ったチェスター&アーチェ。
この後口論になり、いつもの喧嘩に発展したとか。
「全く、スタンの奴はどこに行ったのよ!」
「はぐれちゃいましたね・・・。スタンさん、もう先に行ってしまわれたのでしょうか・・・。」
ルーティとフィリア。非常扉で詰まっている。
「・・・ねぇフィリア、この非常扉、どうにかして開けられない?」
「わかりました、やってみましょう・・・。フィリアボム!」
フィリアが、自作の劇薬を投げつける。すると、小規模な爆発と共にその一部が砕けた。
「相変わらす、なかなかな威力ねぇ・・・。」
「ルーティさん、少し下がっていてください。まとめて投げますから・・・。」
ここを突破するのは、時間の問題だろう。
では最後に。
「だ・・・誰か、助けてくれ・・・。」
天井の下敷きになって、生き埋め状態になっているのは・・・言わずと知れた、ロエン。
彼に限らず、脱出に失敗した生徒が助け出されたのは、日が暮れてからである。
意外に長かったな、避難訓練編・・・。
因みに、リオンはリッドたちの少し前に脱出済みですが、リッドたちは一切彼の心配をしなかったので(笑)
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