TOE小説
「セイファート高校」第29話
〜試験問題漏洩事件〜
今から少し時を遡る・・・。
ここはミンツ大学の寮、キールの部屋。
「キール・ツァイベルだな?」
「何だ?お前たちは。」
唐突に部屋へと入ってきた男たちに対し、警戒の色を示すキール。
だが、その男たちは落ち着き払って言い放った。
「試験問題を持ち出した罪で、逮捕する!」
「何だって!?僕はそんなことやってない!」
身に覚えの無いキールは、当然否定する。
「とぼけるなよ・・・。ネタは上がってんだ!」
「ネタだって!?一体なんだ!それは!」
(お断り・・・本編と多々違う点があるでしょうが、それはご了承ください)
「試験問題を保管していた部屋にな、お前のペンと、パンツが落ちていたんだ!」
「僕はその部屋に近づいてなんかいない!って言うか何でパンツなんだ!?誰かの仕業だってバレバレじゃないか!」
キール、必死になる(そりゃそうだ)。
「とりあえず、こいつを空き部屋へ閉じ込めておけ!いずれ王都から警備隊がやってくるだろう!」
「無視っ!?」
キールは、無理矢理連れて行かれた。
「キールが、試験問題の持ち出しぃ?」
プリムラがそのことを知ったのは、それから数日後だった。
「まさか、あのキールが・・・いや、そんなことない!・・・ここは、名探偵である私の出番ね!」
と思い込み、早速キールが監禁されている部屋へと向かって事情を聞こうとしたが・・・
「余計なことはしなくていい。」
冷たくあしらわれるばかり。だが、彼女は諦めなかった。
「・・・と言う訳で、貴方の助けを借りたいの。」
「ふぅん・・・処刑椅子付きの迷探偵君か。面白い。」
プリムラが接触しているのは、爆弾魔「姿無き晶霊術師」ことヒューラ・ベルミリオン。
過去に晶霊爆弾を仕掛けようとしたが、キールに邪魔された経験を持つ。そのため、今は地下牢の中。
「で、何か思いつくことって無い?」
「評議会。」
「・・・評議会?」
聞きなれない言葉に、?マークを浮かべるプリムラ。
「評議会は、大学の教授の何人かと貴族が結託している。
それこそ試験問題の持ち出しや裏口入学・・・もっと酷いことをやっている犯罪組織だ。」
「・・・つまり、そいつらがキールを陥れたのね!」
「絶対とは言えないが・・・十中八九そうだろうな。」
ヒューラが言い終わるのを待たずに、プリムラは走り去った。
「・・・あのダ・メー探偵君で大丈夫なものかね・・・。」
「キールが無実だっていう証拠を見つけるために、私は奔走したの。それはもう大変だったわ・・・。」
現在に戻って。プリムラは当時のことを思い出しているのか目が虚ろである。
「大変だったのはいいけどよ、長くなるんだったら端折ってくれねぇか?」
「どうして?いいとこじゃない。」
唐突に発せられたリッドの言葉に、ファラが不満の色を示す。
「・・・時計、見ろよ。次、セルシウス先生の数学だぜ。」
見れば、もう少しで授業が始まる。遅れれば、きっとフリーズランサーが待っているだろう。
「残念だわ・・・じゃ、私が貴族の家に入り込んで、証拠の答案を入手した所からいくわね。」
察しのいい読者は御解りだろう。筆者はここからしか鮮明に思い出せないのである(死)
「試験問題も手に入れたし、後はキールを助けるだけね・・・。」
プリムラが、その貴族・・・レイモン卿の屋敷から脱出しようとした時。
『グギュァァァッッッッ!』
「!ド、ドラゴン!?」
プリムラの目の前に、青い鱗を持ったドラゴンがいきなり現れたのだ。
「ハァ、ハァ、ハァ・・・逃がしゃしねぇぞ、女。レイモン卿のペットを放したとあってはただじゃすまねぇが・・・。
それでもお前を殺せるんなら構いやしねえ!やれ!」
ドラゴンをけしかけたのは、今までプリムラの邪魔をし続けたミンツの男学生ジャッコ。
「くっ・・・火晶霊よ、私に力を!ファイアーボール!」
プスッ
・・・不発。
「き、効いてないっ!?」
いや、不発だって。
「風晶霊よ、私に力を!ウィンドカッター!」
ヒュゥ〜・・・
そよ風。
「・・・水(以下略)!アクアエッジ!」
ピュ〜ッ・・・
水鉄砲。というかそんなに撃つ余裕は本来無い。
「グァァァァッッ!」
「きゃあああっ!」
痺れを切らしたドラゴンは、プリムラを思いっきり吹っ飛ばした。プリムラは壁に叩きつけられる。
「・・・ハァ・・・ぐほっ!・・・傷が・・・深い・・・!」
その場にうずくまるプリムラ。ドラゴンが雄叫びを上げながら近づいてくる。
「ヘっへっへ・・・どうやらここまでのようだな、女ぁ。」
ジャッコが下卑た笑いを上げながら近づく。だが、プリムラは立ち上がって言った。
「私は・・・真実を曲げない。隠された真実を明らかにするのが、私たちミンツの学生の使命。
真実を得るためなら・・・引かない!恐れない!挫けないっ!」
そう言いきったところで、背後から声がした。
「その通りだ、プリムラ!」
「えっ!?」
「ウィンドカッター!」
シュン。
真空の刃が、ドラゴンを怯ませた。
「・・・なんて無茶をするんだ。全く、信じられない!」
「キール・・・。」
声の主は、キールだった。
「・・・一人で頑張ろうって・・・」
「グギャアアアアアッッッッッ!!」
本当はいいシーンだったのだが、意外と復活が早かったドラゴンがシーンを中断させた。
「・・・いいとこだったのに・・・まあいいや。友情の合体攻撃で行くよっ!」
「ああ!」
2人は横に並ぶ。
「火晶霊よ!」「僕たちに力を!」『ファイアーボール!』
飛んだ火球は1つだけ。相変わらずプリムラは失敗している。
『ウィンドカッター!』
やはり、真空の刃は1条。プリムラはそよ風。
『アクアエッジ!』
水の刃と、水鉄砲がドラゴンを襲った。全然合体攻撃じゃないが、ダメージは蓄積しているようだ。
「よし、もう一発・・・プリムラ?プリムラ!?」
「ご、ごめんねキール。私、もう駄目みたい・・・。」
腹部の傷を押さえて、再びうずくまっているプリムラ。
「僕一人でも・・・!」
同時刻・・・。
「・・・誰?ウンディーネ先生にお酒飲ませたの・・・。」
たまたまこの近くを通っていたのは、シルフとセルシウス。
セルシウスは、アルコールのせいで全身が赤くなっているウンディーネに肩を貸している。
「う〜ん、セルシウス先生・・・敵がいますよ〜・・・。」
「はいはい、いいから水晶霊の河へ行くわよ。私だってこれから界面渡らなきゃならないのに・・・。」
ウンディーネが見たのは、キールたち。
「助けましょう〜・・・」
「何言ってるのさ・・・って、ウンディーネ先生!?」
再度、キールたち。
プリムラを後ろに庇って、キールが立つ。だが、ドラゴンの迫力に少々押されぎみ。
「こ、怖くなんか無いぞ!アクア・・・」
その時。
「我が水の癒しにて、汝を守らん〜・・・。」
酔っ払ったウンディーネが、三叉槍を構えてものすごい水流を放ったのだ。
しかも、ウォーター・クレーメル。癒しの水でである。
「うわぁぁぁ・・・」
「ガァァァァ〜・・・」
ジャッコとドラゴンは、その激流に押し流された。
「・・・。」「・・・。」
残されたキールとプリムラは、ただ唖然とするばかりである。
「・・・い、今のは・・・?」
「あ、あれれ?なんか傷、直っちゃってるんですけど!?」
焦るプリムラを前に、キールは冷静になって言う。
「・・・なぁ、笑うなよ?今、そこに全身真っ赤な水晶霊の姿が見えたような気がしたんだけど・・・。」
「全身真っ赤な水晶霊?あはははは!まっさかぁ!そんな水晶霊、いたら怖いよ!」
「・・・だが、こんな大規模な現象は・・・」
「そういうの、自意識過剰って言うんだよ。」
「・・・やれやれ。ウンディーネ先生、お願いしますよ。まさか酔っ払ってたなんて・・・。」
「ホントウンディーネって、お酒に弱いよね〜。カクテル1杯で赤くなるほどだし。」
「・・・今回だけは、特別です、よ〜・・・。」
最後に意味不明な台詞を残して、ウンディーネは完全につぶれてしまった。
「・・・シルフ先生、エアリアルボードお願いしていいですか?」
「しょうがないなぁ・・・。」
「静まれ静まれ〜!」
キールとプリムラの前に現れたのは、やたら水に濡れている王国警備隊の隊員。
「・・・貴方は?」
「我が名はロエン・ラーモア・・・の父だ。ここで本人を出すと、ストーリー的にまずいと作者が言っている。」
ごめんなさい(汗)。
「で、君がキールだね?王国まで来てもらうよ。」
「待ってください!キールは評議会という組織に利用されていただけなんです!これが証拠です!」
ストーリーをかいつまんでますが、ご了承を。
「・・・君、この書類をどこから?」
「レイモン卿の屋敷の隠し部屋です。」
「レイモン卿か・・・。(ルエイン君が調べていた件・・・なるほどな。)」
「よし解った。アルジェント君・・・あれ?」
「アルジェント教授!?その人もグルなんです!」
アルジェント教授は、あの激流によって押し流されていた。
「グルなのは解っているよ。彼を王都まで連れて行く。評議会とやらのこと、洗いざらい話してもらうから。」
そう言い残し、ロエンの父は去っていった。遠くで、アルジェント教授の「大学の地位がっ・・・!」という声がした。
「よし、これで一件落着。それじゃあ、パーっとおいしいものでも食べに・・・」
プリムラがそこまで言った刹那、今度は比較的近くで爆発音がした。
「・・・何かしら?」
「あれは・・・晶霊爆弾の光だな。・・・放っておこう。」
いいのか、おい!?
「それで、結局その光ってのはなんだったんだ?」
リッドが、プリムラに訊ねる。答えたのはプリムラではなく、キールだった。
「後から聞いた話なんだが、同じ頃にヒューラが脱獄していたらしい。
晶霊爆弾を持っていたらしいが、あの水流で誤作動を起こしたようなんだ。」
と、そこまで言ったところで予鈴が鳴り響いた。
「いけねっ!フリーズランサーはごめんだっ!」
「十分間に合うって。イケる、イケる!」
リッドとファラが慌てて走り出す。
「・・・ねぇ、この学校の先生って、そんなに危ないの?」
「ああ。君も気をつけたほうがいい。行くぞ、メルディ。」
「はいな〜!コリーナもプリシラも!はよはよぅ!」
キール・メルディ・コリーナも走り出した。
「・・・まぁ、どうにかなるかしらね?」
オチが無いなぁ・・・。
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