TOE小説
「セイファート高校」第30話
〜船の整備依頼〜
ある日のこと。
「皆に集まってもらったのは他でもない。あることを決めなければならないのだ。」
ここは放課後の生徒会室。マローネ会長が、生徒会役員に招集をかけたのだ。
「マローネ会長、あることとは一体?」
ウッドロウが訊ねる。
「・・・今日、レム先生が私にこう言ってきた。『バンエルティア号の調子がおかしいから、整備の人に見てもらってくれ』と。」
「バンエルティア号って・・・あの大きな船ですよね?」
リリスの問いに、マローネが頷く。
セレスティア7大秘宝のひとつ、バンエルティア号。どういう紆余曲折があったのか、今ではこの学校の自家用船である。
「そこでだ。生徒会から代表2名、これからその整備員の所まで行ってくるという事になった。」
「代表は2名か?なら貴様と福会長のウッドロウで決定だろう。」
そう言い放ち、早くも席を立とうとするリオン。
「それが出来ないからこうやってメンバーを集めたのだが?」
「出来ないだと?何故だ。」
「ウッドロウはまだ運動会の事後処理で手が離せない。私はこれから狩りに行かねばならないのだ。」
その言葉に、唖然とする面々。と言うか事後処理が必要な運動会って何だ(22〜26話参照)。
「だから、今日は予定がないという者に頼もうと思う。予定がある者は、この場で言ってくれ。」
「僕はやらないぞ。帰りにスーパーによって買い物をしないといけないからな。」
なんとも家庭的なリオン。頼んだのは間違いなく某メイドと思われる。
「私も、今日は家のスープの仕込みをしないと・・・ところで、ロエンさんとレイスさんは?」
「あぁ、ロエンは風邪で欠席。レイスは「珍しいツボが出てくる」という遺跡に潜っているぞ。」
この日に限って、生徒会役員全員がこの後に予定を控えていた。唯一、暇だったのは。
「・・・そうなるとミント、お前に行ってもらう事になるな。1人ということになるが・・・。」
「構いませんよ。今日は特に予定もありませんし。クレスさんたちと行ってきますから。」
「そうか。じゃあシャドウ先生がバンエルティア号で待機している。準備が出来たら向かってくれ。」
暇だったのは、ミント。彼女は、すぐ行ってきますと生徒会室を出て行った。
「・・・会長、どうした?珍しく心配そうな顔をしているじゃないか。」
ウッドロウが、手にした書類から目線を移す。その先にいるマローネは、確かに表情に影が射していた。
「いや・・・彼女は大丈夫かと思ってな。」
「大袈裟だな。たかだか整備員の家に行くだけだろ?その整備員は気難しかったりするのか?」
「いや、そうじゃないんだ・・・。」
実の所、彼女が心配しているのは家までの道のりではなく、整備員の性格でもない。整備員の家そのものであった。
「・・・到着した。我はここで待っている・・・。」
「解りました。じゃあ、行ってきます。」
一方こちらはバンエルティア号。運転している途中、確かに揺れが酷かったりした。
「あの小屋みたいだね。」
まず船を下りたのはクレス。次にクレスの手を借りてミントが下り、その後チェスター、最後にクラースが下りてきた。
「・・・さっきから気になっていたんですけど、今日はアーチェさんは?」
「あぁ、アーチェは居残り。」
「アーチェさんが?彼女は成績悪くなかったですよね?」
「家庭科の、しかも調理実習の居残りだよ。納得したか?」
・・・いずれ、先生の命が尽きるのではないかとミントは思ったが、口には出さないでおいた。
「さぁ、行こう。先方には連絡が入っているはずだ。待たせては悪いだろう。」
クラースが話を打ち切り、歩き出す。他の3人も、歩き始めた。
「ごめん下さい!」
クレスが、入り口に入ってすぐ大声を上げる。しかし、反応がない。
「すいません!どなたかいらっしゃいませんか!」
更に叫ぶが、やはり反応はない。
「・・・クレス、中に入らせてもらおうぜ。」
「駄目だよチェスター!」
クレスの制止も聞かずに、チェスターは上がりこんでしまった。
「おい、チェスター!」
クレスが後を追う。ミント、クラースも続く。チェスターはすぐ隣の部屋にいた。
「おっ、ソファーがあるじゃねぇか。ここで待たせてもらおうぜ。」
「チェスター、お前って奴は・・・。」
と、クレスが呆れたそのとき、いきなりソファーが破れてガスが噴き出た。
「なっ・・・!」
「きゃっ!?」
「うわっ!」
「・・・睡眠ガス・・・!?」
そのガスをまともに吸い込んでしまったクレスたちは、そのまま気を失ってしまった。
その後、その部屋が地下へ移動していることに気付いたものはいない。
「また、誰か来ましたね・・・。」
とある部屋から、クレスたちの様子をモニターで観察している1人の少年。
「あなた、失礼な人ですね!僕は女ですよ!」
そうだった。ともかく、その少女はモニターを見て微笑した。
「この人たちは、無事に脱出できますかね・・・?」
さぁ、少女とは一体?(バレバレ)
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