TOE小説
「セイファート高校」第36話
〜前半戦〜




「コリーナ、こっち!」
「はいです、ファラさん!」


ボールをキープしていたコリーナが、ファラにパスを送る。


「よっし、いっくよー!」


ファラがドリブル突破を図った。カイルとバルバトスの脇を簡単に抜ける。


「あっ・・・!ジューダス!」
「任せておけ。」


ジューダスがファラの前に立ちはだかり、1対1の状況になる。


「・・・リオン君?」
「違う!僕は・・・ジューダスだ!」


ファラの言葉を、ムキになって否定するジューダス。


「いや、その声・・・リオン君でしょ?」
「リオン〜?そんな奴は・・・知らねぇな!」


ファラが訪ねている間に、大きく回りこんできたロニがボールを奪った。


「あっ!」
「カイル!」
「ロニ、ナイス!」


ゴール前に待機していたカイルに、ロングパスを送る。


「よっし、シュート・・・!」


ピィー!

なぜか審判として呼ばれていたゼクンドゥスがホイッスルを吹く。


「オフサイド!セイファート高校ボール!」
「えぇ!?そんな・・・!」


カイルはゴール前・・・それもペナルティエリアの中まで入っていた。
そりゃオフサイドにもなりやすい。


「ク、クラース・・・!」
「キール、君はもう少し運動した方がいい・・・。」


近くにいるクラースにボールを渡そうとするが、それすらおぼつかない。


「よし、チェスター!」
「はいよ!クレス!行くぞ!」
「任せろ!」


クラース→チェスター→クレスと、上手くパスが通る。


「よし、リッド君、行くぞ!」


クレスがドリブルで走り出す。その横に、リッドが追走する。


「行かせない!」
「はいはい、そこまでよ!」


リアラ、ハロルドが立ちはだかる。だがクレスは慌てない。


「リッド君!」
「はいよ!」


クレスのパスを受け、リッドが突破を図る。だが、素早くハロルドが回りこむ。


「行かせないわよ。デルタレイ!」


3発の光弾がリッドに向かう。リッドはどうにか身をひねってかわす。


「あら、運動神経いいわね。いいデータだわ。」
「危ねぇ・・・。」


ニヤニヤと笑うハロルドに対して、冷や汗をかくリッド。


「今ね!」


好機ととったか、リアラがボールを奪いに来た。


「・・・っと、甘いぜ。」


リッドが軽くボールを蹴る。リアラの背丈の上をいったそのボールは、2人を追い抜いていたクレスが受け取った。


「そんな!」
「あっちの彼もいいわねぇ。血液取らせてくれないかしら・・・。」


2人の女の子を尻目に、更にフォルトゥナ高校のゴールへと迫る2人。


「愚かな・・・。」


今度は、エルレインが立ちはだかる。激しいタックルを仕掛けてきた。


「おっと。リッド君!」
「よし!」


簡単にエルレインをかわし、リッドにボールを渡すクレス。


「ここから先には!」
「行かせねぇぜ!」


ロニ、ナナリーの2人がリッドの前に立ちはだかる。


「チッ・・・。」


リッドの動きが止まる。じわじわと2人が迫る。後ろにはさっき抜かれたリアラとハロルドが迫る。


「リッド君、上!」


その声に、ついフォルトゥナ校の面々が上を向く。リッドがその隙に、ボールを真上に上げる。


「行くぞ!空間翔転移!」


クレスが時空を飛び、空中へと現れた。上がったボールの正面だ。


「やべ!・・・ストーンザッパー!」


ロニが石つぶてを打ち上げ、妨害を図る。


「飛燕連脚!」


多段蹴りの最初の一回で石つぶてを止め、2発目の動きで更なるつぶてを避ける。


「いけっ!」


最後は、ヘディングでシュートを仕掛けた。急角度のシュートだ。


「サブノック!」


フォルトゥナ校の面々が、一斉にキーパーのサブノックに注目する。


「オセ!・・・オセ!?」


彼が普段連れている子豹のオセがいない。さっきまで・・・前話まではいたのに。


「オセ・・・!ええい、くそ!」


サブノックがパンチングを仕掛ける。上手くボールを弾く。


「効かぬわ・・・何!?」
「そらよっ!」


弾いたボールの先には、リッドがいた。マークを受けつつも放ったシュートは、見事ゴールネットを揺らした。


「くっ・・・オセ!オセ!」


サブノックが辺りを見回すと・・・オセはセイファート高校の控えであるミラルドにじゃれていた。


「お、オセ・・・(涙)」
「リッド君、ナイスシュート!」
「クレスも、凄い動きだったぜ。」


落ち込むサブノックを尻目に、ハイタッチを交わすリッドとクレス。


「参ったな・・・。」
「何言ってんだい、まだ1点、それも前半だよ。これからさ!」


ネガティブなロニに対し、ポジティブなナナリー。
他のフォルトゥナ校のメンバーも、やり返す気は満々である。


一方。


「やったね、リッド!」
「カッコよかったです、リッドさん!」


セイファート高校のサイドに戻ったリッドを、ファラとコリーナが出迎える。


「クレス、次は決めさせてもらえよ!」
「・・・じゃあ、そうさせてもらおうかな。」


チェスターに背中を叩かれながら応えるクレス。・・・その脇で。


「・・・出遅れた・・・次は俺が決めるぞ・・・。」


ぼやいているロエン。








再度、キックオフ。


「行くわよ、カイル!」
「いつでもいいよ、リアラ!」


ボールを受け取ったリアラが、再び前線に上がったカイルへとボールを送ろうとする。


「くっ、そうはさせん!」


近くにいたロエンが割って入ろうとした時。


「フレイムドライブ!」


リアラは晶術と同時にボールを蹴ってきた。ボールに混じって、火の玉が飛ぶ。


「ぬぁっ!?」


何とか避けるものの、ボールはカイルの元へと渡った。


「よっし、俺も!フレイムドライブ・・・シュート!」


カイルが、リアラと同じようにしてシュートを放つ。


「バイバ!・・・クィッキー!」
「クキュ・・・。」


クィッキーも怯える。だがその時。


「アクアエッジ!」


キールが水の術を放ち、フレイムドライブの火球を消し去った。


「ありがとな、キール!・・・クィッキー!」
「クィ!」


クィッキーのヘディング。ボールを弾いた。


「まだだ!デルタレイシュート!」


カイルが、立て続けに晶術を放つ。今度は、光弾と共にボールが飛ぶ。


「バイバ・・・あら?」


よく見ると、デルタレイとボールの速さが合っていない。光弾が通り過ぎ、その後にボールが飛んできた。


「クィッキー!」


元々体の小さいクィッキー、光弾は命中しない。確実にボールをキャッチした。


「くっそぉ〜、負けてたまるか!」


再びキールに渡されたボールを、インターセプトする。


「喰らえ!」


今度は小細工無しの、真っ向勝負。


「クィッキー、お願いな!」


毎度のごとくクィッキーが飛ぼうとする。が、その時。


「馬鹿の一つ覚えだな・・・粉塵裂破衝!」


前線に出てきたジューダスが、粉塵を巻き上げてメルディとクィッキーの視界を閉ざす。


「バイバ!?」
「クィ!?」


うろたえる1人と1匹の脇を、ボールが通り過ぎていった。


「やったぜ!」
「カイル、やったわね!」


シュートを決めたカイルに、リアラが寄ってくる。


「バイバ・・・。ごめんなみんな・・・。」
「まだ同点です!大丈夫です!」


落ち込むメルディに、コリーナが声をかける。と、ここでホイッスル。


「前半終了だ。ハーフタイムに入れ。」


ゼクンドゥスの声が、フィールドに響いた。現在、1対1の同点である。




いやぁ・・・優秀ですね、クィッキー(笑)



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