TOE小説
「セイファート高校」第39話
〜試合の行方は・・・?〜




「あ、あれ?もう一人私がいるよ?」


ファラも、もう一人の自分の存在に気付く。


「い、一体どうなってやがんだ・・・?」


と、リッドが混乱しそうになったとき。


「グフフ。上手くいったようね〜。」


妖しげな笑いと共に、フィールドへハロルドが登場した。


「ハロルド、貴様、何をした?」
「あの娘から貰った髪の毛から、ちょっと彼女のクローンなんかを作ってみたのよ。うん、我ながら完璧な出来栄え!」


自慢げに話す間も、何だか目がトリップしているハロルド。


「まぁそういうわけだから、あの娘・・・ファラって言ったかしら。彼女のクローン・・・ファラ2号が、私のポジションを守るわ。」


ハロルドがベンチへと戻る。その間にも、ファラ2号ことファラのクローンはセイファート校ゴールへと向かっていた。・・・DFなのに。


「行くよ、メルディ!」
「バイバァッ!?」


ファラ2号の強烈なシュート。その勢いに、メルディが怯える。クィッキーもまた、普段の彼女を知ってるだけに動けない。


「鷹爪襲撃!」


シュートの真上から、戻っていたファラが急降下をかけた。ピンポイントでボールを穿ち、シュートを止める。


「流石ね・・・オリジナルさん。」
「知ってる?偽者ってね、本物には絶対勝てないって。・・・コリーナ、ボールお願い。」


ファラが、近くにいたコリーナにボールを渡す。そして、ファラ2号へと向き返った。


『・・・行くよっ!三散華!』


2人のファラの声がシンクロし、全く同じタイミングで同じ技を仕掛ける。


「やるね!」
「そっちこそ!」


更に続く、激しい技の応酬。思わず、ボールを持ったコリーナが見惚れる。


「クズがぁ―――!」
「きゃうっ!?」


何の前触れも無く猛突進してきたバルバトスが、ボールを奪いつつコリーナを弾き飛ばした。


「コリーナ!」
「微塵に砕けろぉっ!」


バルバトスが、物凄いシュートを放った。サッカーボールでは微塵には砕けないだろうが・・・。


バキッ!


「・・・バイバ・・・!?」
「クィ・・・。」


バルバトスが放ったシュートはゴールネットを揺らさず、ポストに激突し・・・ポストを粉微塵に砕いた。


「・・・これは大変な・・・リッドぉ!頼むよ!」


メルディが、気合を入れてゴールキックを行う。そのボールは、無事にリッドへと渡った。


「よし行くぜ!」
「手伝うよ!」


リッド、クレスのツートップ・・・現在ファラは格闘中・・・が、再度フォルトゥナ校ゴールを目指す。


「あっ、しまった!」


まだファラ2人の格闘戦に見惚れていたセイファート高校イレブンの1部。リッドとクレスを簡単に通してしまう。


「させないよ!シャドウエッジ!」


ナナリーが、ボールを所持しているリッドを闇の刃で狙う。だが、リッドは軽く避けてしまった。


「させぬわ!ゴールネットを揺らすこと、断じてまかりならん!」


今まで目立たなかったガープ。リッドの後ろからスライディングでボールを奪おうとする。


「ほいっと、クレス!」
「了解だ!」


そのスライディングを軽く跳んで避けながら、クレスにボールを渡すリッド。


「行かせません!」


いつの間にかここまで戻ってきていたリムル。クレスの前に立ち塞がる。


「くっ・・・それ!」


攻めあぐねたクレス、リッドにボールを戻そうとする。だがリムルは、過敏に反応した。


「そこだっ!デルタレイ!」


動きを先読みして、リッドにデルタレイを放つリムル。リッドは上手く光弾を避けるが、ボールは受けられない。


「よし、このボールをカイルに・・・。」
「・・・空間翔転移!」


こぼれ球をリアラが拾おうとするが、そこにクレスが空間を跳んで現れる。ボールを再度自分のものにした。


「ごめんね!」
「あっ・・・!やらせない、アクアエッジ!」


リアラが水弾を放つ。だが、クレスとの間にリッドが入り込んだ。


「魔神連牙斬!」


鞘のまま抜き放った剣で、幾重もの剣圧を放つ。水弾を相殺した。


「クレス、今のうちだぜ!」
「ありがとう、リッド君!」
「待ちなさい・・・!フレイムドライブ!」


ゴールに向かうクレスに、リッドを飛び越して火の玉が3発襲い掛かる。


「真空裂斬!」


リッドが、カマイタチを伴う回転斬りで火の玉を打ち砕く。


「くっ・・・逃がさない!フォトンブレイズ!」


リアラが、追加で晶術を放つ。炎が収束してリッドを包み、炸裂した。


「・・・っくは・・・これは効く・・・。」


大分焦げながら落下するリッド。リアラはそれを横目にクレスを追うが、追いつけそうも無かった。


「行くぞ!」


残りのディフェンス陣を避わし、キーパーと1対1(+1匹)の状況になった。


「オセ、頼むぞ!」


オセが高く鳴き、ボールに飛びつく。キャッチこそ出来なかったが、ボールをそらした。ボールの先には・・・。


「ふっ・・・決勝ゴールは頂いた!」


回り込んできたのは、ロエン。何とかシュートを決めようと、機会を窺っていたらしい。


「でやぁ!・・・あれ?」


渾身の力を込めて振り抜いた足は・・・空振り。ボールは、ゴールラインを割った。


「・・・何故だ・・・。」


嘆いているロエンはほったらかしのままで、コーナーキック。蹴るのは、ミラルド。既にロスタイムに入っている。


「クレス君、行くわよ!」
「ミラルドさん、お願いします!」


ミラルドのコーナーキック。それは見事にクレスの元へと飛んだ。


「それっ!」
「跳ばせるかっ!」
「やらせないよ!」
「ボールは貰います!」


クレスと同時に、カイル・ナナリー・リムルの3人が跳ぶ。4人で押し合い、誰もボールが取れない。


『あっ!』


ボールが弾かれた。すかさずクレスが空間翔転移を仕掛けようとするが、カイルたちが阻む。ロニがボールを拾おうとした、その時。


「うおおお!」
「いっ!何だぁ!?」


ロニが声の方向を見ると、炎に包まれたリッドが突っ込んできていた。


「鳳凰天駆!」


リッドがその勢いのまま、ヘディングシュートを放った。


「何っ・・・オセ!」
「ガルル・・・」


オセがシュートを弾こうとするが、届かない。サブノックが伸ばした刀も、僅かに届かない。ゴールネットが揺れた。


「よっしゃ!」


リッドのガッツポーズ。それと同時に長いホイッスル。試合が終了した。
















「ようやく終わったか・・・。」
「負けたのは残念でしたが・・・皆、よくやりました。」
「エルレイン様、申し訳ございません・・・。」
「あ〜あ、疲れたぜ。」
「ほんとだねぇ・・・返って御飯にしようか。」
「・・・ファラ2号、どこに行ったのかしら。」
「何故だ・・・この俺様が負けるなど・・・有りえん・・・有りえんぞぉ!」
「ダンダリオンさん・・・先に帰っちゃったようですね。」
「セイファート高校って強いなぁ。俺、あこがれちゃうよ。」
「ふふ、カイルったら。」


十人十色の感想を述べながら、フォルトゥナ高校の面々は引き上げていった。


「疲れた・・・クレス、俺たちも帰ろうぜ。腹減った・・・。」
「そうだね・・・僕もおなかペコペコだよ。」
「ねぇねぇ、あたしの料理食べてみる気は無い?」


リッドとクレスが話しているところに、なにやら怪しい液体が入った器を持ったアーチェが現れた。


「アーチェ・・・!?そ、それは一体?」
「あたしって、結局出番無かったじゃん?だから、みんなのために特製スープを作ったんだよね。」
「・・・材料は・・・なんなんだ・・・?」
「えっと・・・マンドラゴラに・・・後は忘れちった。」


リッドとクレスの、両方の顔が引きつる。だがその時、救世主が現れた。


「おい、そんなもの喰わせて、大活躍の2人を殺す気か?」
「なによ、チェスター。それじゃあたしの料理が毒物みたいじゃん。」
「毒物なんだよ・・・お前、自分で食べてみろよ。」
「やーよ。毒見は怖いじゃん?」


ここでミントが現れ、タイムストップをかけた上でアーチェを縛り倒した。


「皆さん、これから学校へ行きませんか?私とミラルドさんで、食事を用意してありますから。」
「マジか?行くぜ、絶対行く!」
「そうだね。僕も行くよ。皆も行こう!」
「では、ご馳走にあやからせてもらうか。皆、学校まで行くぞ。」


最後のマローネ会長の声に一同は頷き、約一名を除いて学校へと向かった。























因みに、その約一名は・・・。


「ハァ、ハァ、ハァ・・・貴女、やるわね。」
「流石に・・・私たちだね。」


あはははは、と笑いを響かせる2人のファラであった。今現在、深夜の1時である・・・。




シンフォニア買いました。流石に登場は暫く(?)無理でしょうが。



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