TOE小説
『セイファート高校』第5話
〜授業風景その2〜


4時間目、歴史。担当は教頭のゼクンドゥス先生。


「・・・では、出席番号14番。この範囲を読んでもらおう。」
「あ、はい。」
「そうだな・・・制限時間、1分だ。それまでに読み終わらなかったら・・・。」


指定された範囲は、およそ1ページ分。しかも、挿絵などはない。
速読の名人でもない限り1分では到底読みきれない。


「ちょっ、先生、無理・・・」
「はい、スタート!」


容赦無しのゼクンドゥス。
指名された生徒は頑張って読んではみたものの、ページの半ばで1分経過しそうである。


「あと5秒・・・。」
「・・・・・・・・・!!(汗)」
「3・・・2・・・1・・・時間切れだ。ディストーション。」


無情にも、生徒は時の歪みに引きずり込まれ、消滅した。


「気にするだけ時間の無駄だ。どうせこの学校のどこかに出てくるはずだからな。」


次元の歪みではないはずなのに、どうしてそんなことが出来る・・・。


「じゃあ続きを・・・。」
『・・・・・・・・・・・・!!(滝汗)』


クラスの生徒全員が自分に指されないよう願った。


「・・・止めた。時間の無駄だ。」


生徒たちが心の底から安堵したのは言うまでもない。


「では、今日はここまでにする。」
「先生、明らかにおかしいです・・・。まだ授業開始から15分しか経ってません・・・。」
「今日の進む範囲はここまでだ。これ以上は時間の無駄。文句あるのか?」


そう言われると、反論など出来はしない。質問した生徒は、押し黙ってしまった。























昼食をはさんで、5時間目、体育。
これは1組との合同授業となる。担当はイフリート先生とフォッグ先生の2人である。

・・・暑苦しい。


「おぅ!今日はアレをやるぞ。」
「先生、アレって何ですか?」
「アレは・・・ええと…ホラ・・・解るだろ?」


解るか。


「フォッグに替わって俺様が教えてやろう、今日やるのは100m走だ!4人一組でタイムを競うぞっ!」

・・・五月蝿い奴である。












あっという間に順番が進み(手抜き)、リッドが走る番となった。
共に走る3人は・・・なんと、ファラにメルディにコリーナである。


「リッド、負けないからね!」
「メルディだって頑張るよ!」
「私も頑張るです!」


気合が入っている女子3人。


「走んのはいいけどよ・・・。どうしてこいつら相手なんだ・・・?」


対照的に、気合が抜けているリッド。




・・・スタート。
やはり、リッドとファラが速い・・・いや、凄まじくメルディが速い!?


「ファイアボール!」


突然、イフリートがメルディに火の玉を投げつけた。
狙いは外してある。メルディの足止めのようだ。


「バイバ!?先生、何するか!?」
「やり直し!エルブンブーツは運動会でない限り反則だ!」


運動会なら反則にならないのか?




結局、リッドがトップをかっさらった。やる気がなかったくせに。




「あれ?キール、どうかした?」


ファラが、元気のないキールを見つけて声をかける。


「知ってるはずだろ?僕は学問担当だってこと・・・。そんな僕に、100mも走らせるなんてどうかしてるよ・・・。」


つまり、自信がないからやりたくない、と言っているのである。


「大体、学生の本分は学問なんだ・・・その学生がどうして体育なんて・・・。」
「おぅ!次はお前等の番だな!とっとと並びな!」


そんなキールの様子など気にも留めずに、フォッグはキールを引きずっていった。


「大丈夫かな〜?」












スタート。
キールは、クラウチングスタートから勢いよく飛び出した・・・ように見えた。


「相変わらずだな、あいつ・・・。」


飛び出しすぎて顔面から転んだキールを見てリッドが呟く。


「ぐわはははは!さっさと走ろぅい!ダークイレイザー!」


なんと、フォッグが後ろからメガグランチャーを構えて歩いてきた。
その発射口からは、黒いエネルギーの塊があふれている。これに触れたら、人間の身体など簡単に消し飛ぶであろう。


「オイ!教育者がそんなことしていいと思っているのか!(滝汗)」
「おぅ!?なんか言ったか!?」


キールの言葉に耳を貸す気配ゼロ。
死に物狂いで走った(逃げた)キールは、どうにか100mを走りきった。


「キール、だいじょーぶか?」
「はぁっ、はぁっ、はぁっ・・・。む、無論だ!」


心配して寄って来たメルディに、精一杯の強がりを言うキール。 なにやら顔から血の気が引いているのが気にかかる。

・・・あ、倒れた。


結局、キールは保健室送りとなった。それにしても体力のない・・・。


















6時間目、晶霊学。
担当はガレノス先生。メルディの得意科目である。


「・・・じゃあ授業を始める・・・おひょ?メルディ?」
「ガレノス!久しぶりだなー!」


つい声を上げるメルディ。
ガレノスは、メルディの家庭教師をしていた人物であった。


「メルディ、知り合いなの?」
「はいな。メルディのお師匠さん・・・じゃなくて、家庭教師だった人な。」



「じゃあ挨拶代わりに一つ、面白いものを見せましょうかな・・・。」


そう言ってガレノスが取り出したのは、ビーカーと2つの試験管。
試験管には何か入っている様子もないのに栓がしてあり、何故か逆さまになっている。


「上手くいったら拍手喝采・・・。」
『・・・?』


よく解らない、と言った顔つきをしている生徒たちをよそに、ガレノスは手を進める。
今度はビーカーを逆さまに持ち、そのビーカーの中で試験管2本の栓を取った。

そして、そのビーカーのすぐ下に火のついたマッチを置き、ビーカーを静かに下げていった・・・。



バン!!



すごい音と同時に、勢いよく炎が起こった。
しかし炎はすぐに消え、後に残っているのは・・・水。


何が起こったのかと言うと、単に試験管の中に入っていた酸素と水素が化合しただけなのだ。
2H+O=2HOの理屈である。


「・・・あれ?ガレノス?」


メルディが、教壇に立っていたはずのガレノスの姿がないことに気付いた。

ガレノスは、教壇のすぐ下で腰を抜かしている。よっぽど驚いたのだろう。
・・・自分でやると言ったくせに・・・。






その頃、キールはどうしているのだろうか・・・。



また続きます。



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